第34話 第8回SM青少年ベスト選抜大会

★Part.1
スマン「(おっほん)入りなさい」
がちゃ
ドワン「失礼しまーす。ほれ(ぐいぐい)」
テヨン「痛い、痛いって」
スマン「おお、その子が例の?」
ドワン「へえ、キム・テヨンと申します。こら、もっと頭を下げて(ぐいぐい)」
テヨン「いててて。ワシぁ謝らなでけんようなこと、なんもしとらんけ」
ドワン「自覚がないほど繰り返しておったのか。このバカモノめ」
スマン「なにを入り口でごちゃごちゃゆうとるねん。これテヨンとやら、もっと近くに来て顔を見せなさい」
ドワン「(どきっ)い、いや、こんな子供が、先生から10歩の距離に近寄るなど恐れ多い」
スマン「ワシゃ始皇帝か! ええから、顔を見せなさい」
ドワン「は、はぁ」
ぱっ
テヨン「(振り解き)ああ、痛かった。これ以上背が伸びんかったら、先生のせえじゃけえね」
スマン「…! あ、そ、その顔は!?」
ドワン「(ギックゥ!)」
スマン「ブッサイクやのう」
テヨン「ほっといてくださいよ」
スマン「よおその顔でアイドル目指す気になったなぁ」
テヨン「ふん、ワシのおかんは若い頃全州小町ゆわれた美人じゃったけ。”全州ピビンパ娘”や”ミス・マッコリ”に選ばれたこともあるんじゃけ。
  ワシかて、時が来れば美人になるはずじゃ」
スマン「あたかも”ミス・にっこり”みたいな言い方しとるけど、全然知らんぞ、そんな大会」
ドワン「あ、あれ?(テヨンを見て気付かんとは、カツアゲの犯人やなかったんか)」
スマン「まぁええ。顔はどうにでもなる。ドワンと歌うた『You Bring Me Joy』、聴かせて貰うたで」
テヨン「はぁ」
スマン「アルバムに参加してみて、どうやった?」
テヨン「えーと、正直まだまだじゃあ思いました」
スマン「ほお、中学生で商業アルバムに起用されたんやぞ。もっと自信を持ってもええんやないか?」
テヨン「音を外さんよお、正確に歌うだけで精一杯でした。声の表情も硬いし、恥ずかしいです」
ドワン「自分の歳で、あれだけ正確に歌える子は滅多におらんで」
テヨン「BoAさんは、ワシの歳にはもおプロとしてオリジナル曲を歌いこなしちょったけぇね。歌だけやなく、ダンスも一級品やし」
スマン「あの子は特別や」
テヨン「プロなんやけ、特別なんは当然じゃ。じゃけワシも人一倍練習して特別になろうとしとるんです。
  それに、参加したのが商業アルバムである以上、年齢なんか言い訳にならんと思います」
スマン「ふーん(意識は高いな)」
テヨン「ワシぁ、たかが先生のアルバム1枚に参加したからゆうて、それで満足するためにアカデミー通っとる訳やないですけ」
ドワン「”たかが”て(涙)」
スマン「すると将来はBoAみたいな歌手になりたいと?」
テヨン「こないだまではそう思うとりました。じゃけど、アルバムに参加して気付いたんです。
  ワシはもっと歌唱力をつけて、歌で人を感動させるようになりたいんじゃって。レコーディングよりライブで真価を発揮する歌手になりたいんです」
スマン「うんうん。70年代のイ・スマンのような歌手になりたいんやな」
テヨン「ぺっ」
スマン「唾吐くなよ(泣)。いずれにしろプロを目指しとるんやったら、芸能社と契約して練習生にならにゃあかんぞ。その辺はどう考えとるんや?」
テヨン「へえ。ワシはSM一本に絞っとるんじゃが、あそこが一番厳しいゆう噂ですけ。もっとアカデミーで勉強して、実力をつけてからオーディションを受けようかと」
スマン「スンウォンはどう思う?」
ドワン「この子はもうアカデミーで学べることは全部吸収してしまいましたよ。これ以上を望むなら、今すぐでもSMの育成プログラムで練習するべきでしょう」
テヨン「ええ、そ、そんな…」
ドワン「大丈夫や、お前は自分で思う以上の実力を持っとる。練習生の中に入っても萎縮する必要はない」
スマン「練習生になると、授業料は全て免除や。自分の親も喜ぶんやないかな」
テヨン「そ、それはそうかもしれんけど」
スマン「それに、朝から晩までずっとレッスン漬けや。アカデミーでは受けられない高度で濃密な内容やぞ」
テヨン「…一日中、高度で濃密な練習を?(どきどき)」
ドワン「ほなスマン先生、この子を練習生に?」
スマン「その前に条件がある。次の青少年ベスト選抜で歌部門1位になれ。そうすれば契約しよう」
テヨン「えー、あれって何千人も応募して来る大会では?」
スマン「その何千人の頂点に立ってこそ、自分のゆう”特別”な存在になれるんやないか? それにそのくらいの実績がなければ、他の練習生も納得すまい」
テヨン「うう…(汗)」
ドワン「大丈夫や。お前なら楽勝で1位になれる(ポン)」
テヨン「い、いつの間にか決定事項になっとるし(トホホ)」
スマン「(すっく)よし、ほな練習室を見せてあげよう。自分と同い年くらいの子たちが、仰山練習しとるで」
ドワン「ああ、それはええですね。刺激になる」
テヨン「ははぁ、ここで第1話に繋がる訳じゃな」
スマン「そうゆう裏事情は気にせんでええから」


★Part.2
 (ビギンズ第1話参照のこと)
 http://d.hatena.ne.jp/u1729+Begins/20101027/1288176432


★Part.3
がやがやざわざわ
ユナ「うひゃー、人だらけ(驚)」
ソヒョン「何千人も参加する大会にしては、汚い会場やな」
ユリ「そらぁたかが選抜に金かけてられへんからな。あ、控え室はこっちやで」
ジェシカ「さすが、選抜組、詳しいな」
ユナ「(かき分けかき分け)もお、誰が出演者で、だれがその家族やら…あ、おった、おった。あれやないか?」
ヒョヨン「ホンマや。おーい、キム・テヨーン!(振り振り)」
テヨン「…! オノレらは練習生の…」
ユナ「これもなにかの縁や。応援に来ましたで」
ヒョヨン「来週から仲間になるかも知れんからな」
テヨン「あ、ありがとう」
ジェシカ「テヨンさん、(すっ)これ良かったら飲んで」
テヨン「あ、オノレはチョン・スヨン…やったっけ?」
ジェシカ「スヨンゆうな(ホンマこいつとは気が合いそうもないな)」
テヨン「これは?」
ジェシカ「わたくしの父は牙山市出身なの。そこの特産で、温陽温泉の源泉を使った滋養ドリンクなのよ」
テヨン「へー、そら気ぃ使わせて悪いのお。ほな遠慮なく(グビグビグビ)」
ジェシカ「(うひゃひゃひゃ、飲みやがったで)」
ソヒョン「…(じー)」
テヨン「ぷはー、ごちそうさん。うん、確かになんか力が漲って来る気がするけぇ」
ジェシカ「ど、どおもないの?」
テヨン「快調、快調。ほな行ってくるけ。応援ありがとお!(てててて)」
ジェシカ「…(汗)」
ソヒョン「うーむ、ナウマン象すらいちころゆう毒を一気飲みして、平然と笑うとったで」
ユリ「さすが平気(テヨン)」
ユナ「くだらねえ」
ジェシカ「ま、まぁ歌うてる最中に、腹痛うなって、落選するって」


テヨン「(てけてけ)3309番、キム・テヨン。『帰去来辞』を歌います!」
♪우〜〜 우〜〜〜 우〜〜 우…
 하늘아래 땅이있고 그위에 내가있으니 (← かなりなまっている)
ジェシカ「げぇ、こないだより声がでかい」
ユリ「元気いっぱいやんか」
ソヒョン「あのねえさん、ええ標本になりそうやなぁ(笑)」
♪바람아 불어라 이내몸을 날려주려마
 하늘아 구름아 내몸실어 떠나가련다
 우〜〜 우〜〜〜 우〜〜 우…(じゃん)
観客「わーっ(ぱちぱち)」
テヨン「(ぺこぺこ)」
ユリ「何事もなく歌い切っちゃったよ」
ジェシカ「に、人間やない(ひえー)」

ばたばたばた!
テヨン「あ、みんな! おかげで上手く歌えたで。声援、ありがとうな(ニッコリ)」
ユナ「よ、よかったっすね」
ソヒョン「一番上手でしたよ」
ユリ「これなら1位間違いなしやな」
ジェシカ「…(うきー、こんな特殊体質やわかっとったら審査員に毒盛るんやった)」


司会「さぁ、それでは審査の結果を発表します。まずダンス部門本賞はチユルさん!」
観客「おお(ぱちぱち)」
司会「ギャグ部門はシン・ドンヒくん」
観客「ほぉ(ぱちぱち)」
司会「そして歌唱部門、ノレチャン(最高の歌)賞は…」
テヨン「どきどき」
司会「キム・テヨンさん!」
観客「わぁーーーー(ぱちぱち)」
テヨン「や、やったぁ(へなへな)」
ヒョヨン「やったやんか、自分。これでウチらの仲間やな!」
テヨン「ありがとう、ありがとう…(涙)」
ジェシカ「う、くくく…(涙)」
司会「そして全体優勝(チョングベ大賞)は、キム・テヨンさんです!」
ユナ「すごーい、全体優勝まで!」
ユリ「ウチでさえ本賞止まりやったのに」
ソヒョン「久々の大物の予感やなぁ。体力的にも(にやにや)」
ジェシカ「くぅ…いじめてやる、いじめてやる。ギャフンといわせてやる!」
ドワン「…ぐすん、ぐすん(おめでとう、テヨン。これで自分はSMの練習生。プロへの階段を一歩上った訳やな。
  自分の前にはまだまだ上るべき階段が仰山ある。そやけど、今日はおめでとうと言わせて貰うで)」
     記念写真(ワンガのソヒも容姿部門で入賞してる)


クッキーマン「へぇ、スマン先生が見とけゆうから選抜大会に来てみたけど、優勝した女の子、すごかったな。
  あの子もいつかワシの担当になるのかな。まぁ見てて良かったわ」
ク・ハラ「こら、おっさん」
クッキーマン「ん、ワシ?」
ハラ「もちろん、ぼーっと歩いとるワレのことじゃ。ちょっと金貸してくれへんかのぉ」
クッキーマン「湖南弁? 田舎の子かな。帰りの電車賃が足りないんなら、警察に行って事情を話しなさいよ」
ハラ「バカけ? そげえなことしたら返さなおえんやろ。
  さっさと財布を出せ。出さんゆうたらイナゴ食わしよるで」
クッキーマン「む、ガキのくせにカツアゲする気か?」
ハラ「ソウルは銭持ちが多いけぇ、わざわざ光州から出張ってくる価値があるんじゃ。こないだもメタボなおっちゃんからようけ巻き上げたけえね」
クッキーマン「な、なんちゅう荒んだ世の中や。こんな小学生がカツアゲするなんて」
ハラ「小学生じゃねえけ。これでも中1やけ」
クッキーマン「一緒やないか!」
ハラ「一緒やねえ!(ボコボコボコ!)」
クッキーマン「う、うげえ!」
ハラ「ふん、さっさと銭出さんけ、痛い目に遭うんじゃ(さっ)」
クッキーマン「わ、ワシの財布。給料出たばっかやのにぃ(バタ…)」
ナレーション「4年後、この少女もまた運命の糸にひかれてアイドルの道を歩み出すのだが、それはまた別の話…(と言うか関ソニョでは扱いません^^)」







※ミスにっこり選抜大会(미스 빙그레 선발대회)…女優ハン・ヒョジュがデビューするきっかけになった大会。
 韓国では割と有名な大会らしい。
    
    2003年ハン・ヒョジュの第9回ミスにっこり選抜大会での映像。
    このときまだ 17歳の高校生だった。可愛い^^


※テヨンが2004年の第8回SM青少年ベスト選抜大会で優勝し、練習生になったのは第1話の脚注の通り。
 この青少年ベスト選抜大会からは
 2001年第1回の大会でユリがダンス部門1位、同大会か判らないが同年の大会でイェソンが歌唱部門1位、
 2003年の第5回でコ・アラが大賞、2005年の大会ではシンドンがギャグ部門1位
 となり、それぞれキャスティングされている。
 これによるとベスト選抜は年に2回ほど行われているようだ。
 SME代表理事キム・ヨンミンによるとSMの公開オーディションを受ける子は、世界中で年間約30万人。
 毎週土曜日に行われているようが、平均して毎回5〜6000人と言うとんでもない数が受験する訳だ。
 そこで勝ち残った子が年に2回のベスト選抜に出場できる権利を得るのか、まったく別のシステムなのかよくわからない。
 公開オーディションでキャスティングされたといわれるメンバーにはユナ、ヒョヨンなどがいる。
 選抜組でもオーディション映像が残ってる子もいるし、テヨンやジェシカのように、その頃の映像が一切露出されない子もいる。
 また、スヨンのようにルートヨンの活動後SMに入ったとされているのに、そのオーディション映像は明らかにルートヨン時代より幼かったりと、この辺はまだ謎だらけ。
 これとは別に、SMはスカウトによる新人発掘も行っていて、ジェシカやティパニ、ソヒョンがそうだが、この場合でもオーディションを受ける必要はあるようだ。
 整理すると、
 選抜組→テヨン(オーディション映像未公開)、ユリ(オーディション映像公開済み)
 公開オーディション組→ヒョヨン(オーディション映像公開済み)、ユナ(オーディション映像公開済み)、スヨン(オーディション映像公開済み)、ソニ(オーディション映像未公開)
 スカウト組→ジェシカ(オーディション映像未公開)、ティパニ(オーディション映像未公開)、ソヒョン(オーディション映像公開済み)
 となる。スヨンとソニがオーディション組なのは推測。ひょっとしたら推薦組という別のカテゴリーかも。
 映像未公開組の共通点は、ヴォーカルラインであること、地方出身であること、なので歌唱部門はカメラを回していなかった、地方のオーディションではそもそもカメラを回さなかったということも考えられる。
 ソヒョンは幼すぎて、まだまだ歌かダンスか決まってなかったのかもしれない。
 いずれにせよ、たかが数年前のことなのに不確定なことが多すぎる。これからの研究課題が山積みである。