第35話 エースのトップをねらえ!

ソニ「…へえ、ココマはそうやってSMに入ったんか?」
テヨン「そう。その後、先輩や同期たちの壮絶ないじめに耐えながら、やっとここまで来たんや」
ジェシカ「なにが”壮絶ないじめ”や。あっという間に練習クラスしめてもうたくせに」
ユナ「当時ブイブイゆわせてたカンインにいさんなんか、半殺しの目に遭うたからな」
ヒョヨン「でもそれ以来、テヨンべったりになったで」
ユリ「どつかれる快感に目覚めたんやな」
テヨン「ふふふ、ウチのパンチは活人の拳。暴力を滅して人は活かす」
ヒョヨン「適当なことゆうな」
ソヒョン「その頃、ソニねえは別の事務所におったんやろ?」
ソニ「そう、最初は”スターワールド”ゆう事務所に入ったんや」
ソヒョン「おとうさんの事務所やね」
ソニ「おとんの事務所やから入ったんやない。憧れの人がおったからや」
スヨン「憧れの人? 男? 男?(ジュルルル)」
ソニ「いやいや、綺麗で上品なお嬢様でな、女の子みんなの憧れやったんや。シカみたいなインチキやなく、マジでお蝶夫人呼ばれとった」
ジェシカ「インチキとはなんや」


  お蝶夫人(仮名)「(つかつか)あなたがイ・スンギュさん? スターワールドへようこそ。仲良くしましょうね」
  ソニ「へ、へえ(どきどき)。あのお蝶夫人が声を掛けてくれた。きゃー、どうしましょう!」
  マキ(仮名)「いいなぁ、スンギュ」
  音羽(仮名)「くぅ、あの新入りめ。ウチらのお蝶夫人にお声をかけていただくなんて、6500万年早いんじゃ!」


ソニ「そんな時、新しいコーチが赴任して来たんや。
  かつて韓国を代表するプレイヤーやったんやけど、わずか22歳で再起不能を宣告され、指導者になったゆうお人や」
ソヒョン「あー、何となく方向が見えてきたで」
ソニ「厳しいコーチやった。そして、そのコーチの赴任から程なく、事務所対抗試合が行われることになった」
ジェシカ「事務所対抗で、なんの試合をやるんや?」


  宗方コーチ(仮名)「代表選手、残りのひとりはイ・スンギュ!」
  全員「ええっ!」
  お蝶夫人「コーチ、これまでは音羽さんが代表でしたのよ」
  宗方「ワシのやり方に逆らうなら、貴様も代表から外す」
  お蝶夫人「うう…仕方ない、スンギュ、音羽さんの分まで頑張りなさい」
  音羽「な、なんでや。なんであんなチンチクリンが、ウチを差し置いて代表に…(怒)。くそー、いじめてやる!」
     音羽先輩(仮名)


  ソニ「はぁ、今日から特訓かぁ。気が重いなぁ…い、痛っ!」
  マキ「どうしたの、スンギュ?」
  ソニ「く、靴の中に画鋲が…!」
  マキ「ええー? それって、誰かがわざと入れたんやで」
  先輩たち「ふふふふ…」
  

ユナ「判った! 犯人は親友と見せかけたマキやな」
ソニ「いや、そうゆう推理ドラマやないから」
ティパニ「(ふっ)ベタな推理やな、牝鹿刑事」
ユナ「ほっとけ」


  ソニ「ああっ!(ズザッー)」
  宗方「もう一球だ、立て!」
  ソニ「もう無理です、コーチ!」
  宗方「…(バシッ!)」
  ソニ「キャーッ!」
  お蝶夫人「コーチ、倒れているスンギュに打ち込むなんて非道すぎます!」
  宗方「(無視)立て、立たないともっと打ち込むぞ!」
  ソニ「もうイヤです。なんでウチを代表に選んだんですか? ウチより音羽さんの方がずっと上手なのに(泣)」
  宗方「それは、自分がへたくそやからや」
  ソニ「え?」
  宗方「初めて見た時、自分は飛び抜けてヘタでブスでチンチクリンやった。そんな奴がヒーヒーゆうて苦しむのを見るのが大好きなんじゃ」
  ソニ「(こけっ)ド、ドSなだけやんか!」 


ソニ「そんな毎日を耐えられたのは、男子部の藤堂(仮名)さんがおったおかげや」
ユリ「当たり前みたいに日本人の固有名詞が登場する話やな」
ソニ「そやからあくまで仮名やって」
ユリ「いやいや、騙されへんぞ」


  とぼとぼとぼ
  藤堂「ははは、今日もこってり絞られたようやね(キラリン)」
  ソニ「(はっ)と、藤堂さん…」
  藤堂「そやけどやめたらアカンで。自分はきっと一流になれる。ワシはそう信じとるから…」
  ソニ「藤堂さん…」
  藤堂「さ、もう夜も遅い。ワシが送っていったるわ」
  ソニ「いつもおおきに」
  藤堂「遠慮せんかてええ。ワシは自分を送りたくて送ってるだけや。何故ならワシは…じ、自分のことが…(真っ赤)」
  ソニ「…(ドキドキ)」
  ゴエモン「みゃあ〜」
  ソニ「あ、ゴエモン、迎えに来てくれたんか。…ほな、藤堂さん、また明日。送ってくれてありがとうございました(ペコリン)」
  藤堂「あ、ああ。また明日…はぁ、今日も言えなかった」
  尾崎(仮名)「はっはっは、その分じゃ、ふたりの仲もまだまだのようやな(すっ)」
  藤堂「お、尾崎!」
  尾崎「お互い、恋には泣かされますな」
  藤堂「と言うと、自分もまだお蝶夫人に…」
  尾崎「ふっ…なぁ藤堂、テニスじゃ全国優勝した俺たちやが、恋にはスマッシュを決められっぱなし。これが青春てもんかな」


ヒョヨン「とうとうテニス言いだしたし(笑)」
ユナ「あと全体に台詞が昭和臭い」
ソニ「元が元やから仕方ないがな」
ユリ「元てなんじゃ、元て?」
ソニ「(ピーピー)藤堂さんの励ましもあって、ウチは徐々に力をつけていった。
  宝力さん(仮名)や加賀のお蘭(仮名)と言ったライバルに打ち勝ち、ついにはエースと呼ばれるようになったんや」
ヒョヨン「ゆうとくけど、テニスの”エース”て、そうゆう意味やないで」
ソニ「(どんっ)そんな時やった!」
ヒョヨン「聞けよ」
ソニ「地球を宇宙怪獣の集団が襲って来たんや」
全員「(ズデデデ)なんや、その展開?」
ソヒョン「まぁそうなるわな(ニヤニヤ)」 ←予想通り
ソニ「その頃、宇宙怪獣の侵攻を食い止めるべく、地球帝国宇宙軍では超光速万能大型変形合体マシーン兵器ガンバスターを開発していた。
  パイロット候補生のウチとお蝶夫人は急遽宇宙戦艦ヱクセリヲンに搭乗し、太陽系外縁を目指した」
ティパニ「な、なにゆうとるんや、自分?」


  ちゃぷーん
  ソニ「はぁ、ヱクセリヲンの展望浴場、広くて気持ちいいですね、先輩」
  お蝶夫人「なにをのんびりしたことを言ってるの? 明日は宇宙怪獣の先鋒と接触するのよ」
  ソニ「わかってますよぉ。そやから、これが最後のお風呂になるかも思うて楽しんでるんですぅ」
  お蝶夫人「本当にバカね。ガンバスターに搭乗出来るのは1人だけ。つまり私かあなた、どちらか優秀な方…(ふふふ)」
  ソニ「え? どおゆうことですか、先輩」
  お蝶夫人「戦いはもう始まってるのよ、カズミ(仮名)」
  ソニ「あ、身体が痺れる…、お湯になにか薬を…うう」
  お蝶夫人「ひぇーひぇっひぇひぇ、ぶわぁーかめ。お前なんかがガンバスターに乗れる訳ないんや。エースのトップに立つのはこのウチなんだよっ!」
  ソニ「ひ、卑怯やでぇ(ガク)」


全員「…(呆れて言葉にならない)」
ソニ「こうしてウチはデビューするきっかけを失ったんや。そのうち”スターワールド”も経営悪化で新人を出すどころやなくなってなぁ。
  幸いアユミ先輩の推薦でSMに入れたからええけど、実際に来週デビューするまで不安やわぁ」
スヨン「そこのアユミには(仮名)は入らへんのかよ」
ソヒョン「よく出来てるなぁ(笑)」
ジェシカ「結局どんな人生を歩んで来たのか、さっぱり判らん奴やな」
ソニ「まぁアイドルは謎が多い方が魅力的やって」
ヒョヨン「チームメイトにくらい教えてくれてもええやろう」
ソニ「だから今ゆうた通りやねんて。あ、そうや、その前にウチが、不殺の流浪人と全国を旅した話をしてやろうか?」
テヨン「ええ加減にしなさい!」
ちゃんちゃん







※判らない人はどんどん置いていきます(笑)