第61話 止められない結婚

ナレーション:それはまだ少女時代がデビューして間もない頃…


ユリ「ドラマ?(ぱちくり)」
スヨン「ウチらが?」
クッキーマン「うむ。今年流行った映画で『止められない結婚』ゆうのは知っとる?」
ティパニ「あのインポテンツが新郎の話か?」
クッキーマン「はぁ? なにゆうとるの?」
ティパニ「はめられない結婚やろ?」
クッキーマン「『止められない結婚』や! なんでも下ネタにするんじゃねえ!」
スヨン「えーっと、ハ・ソクチンとキム・スミのババァが出た?」
クッキーマン「う、うむ…(敬称使えや、ボケ)。その映画が、今度KBSでドラマになることになってな。ユリとスヨンにお声がかかったゆう訳や」
ユナ「なにぃー?」
ユリ「やっぱし見る人は見てるゆうことやね(喜)。『花美男連続ボム事件』でのウチの瑞々しい演技が評価されたんやわ」
ユナ「ありえへんわ、ボケ」
スヨン「日本でのウチの活動こそ評価されたんや。そうに違いない。♪湧っく 湧っく いつ湧く?
ユナ「歌うんじゃねぇ、ヘタクソ!」
クッキーマン「まぁドラマゆうてもシットコムやけどな」
ユナ「な、なーんや、シットコムかぁ(ほっ)」
ユリ「む、貴様、シットコムを差別する気か?」
ユナ「そらそうや。役者は正劇に出て初めてきちんと評価されるんや。学芸会にも等しいシットコムくらいでそんなに喜ぶなんて、ちゃんちゃらおかしいわ(ほーっほっほ)」
スヨン「学芸会やと(むきーっ)」
ユリ「あとで”ちょっとだけでも出して”て頭下げたってきいてやらんぞ」
ユナ「誰が出るかい、シットコムなんか(つーん)」
ナレーション:だが、翌2月にはユナもこのドラマに出演するのであった。
テヨン「ウチも本格指向やからシットコムは御免や。演技するならまず正劇から。これが基本ね」
ユリ「1回もカメラの前でまともな演技したことないくせに、なにゆうてるんや」
スヨン「まさに天狗(呆)」
ナレーション:そう言うちびっ子リーダーも、結局『止められない結婚』でドラマデビューし、安いミュージカルを経て、再び2012年春シットコムサンショウウオ導師と恋まじない』にカメオ出演するのである。
 2014年1月現在、テヨンに正劇出演の履歴はない。
テヨン「やかましい!」
クッキーマン「とにかく、来週オーディションやから行って来いや」
スヨン「あ、まだオーディションがあったのね(ズル)」
ユナ「アホや」


ナレーション:しかし、プロデューサーのキム・シギュが最初から「ヤカラ女子高生の役は少女時代で」と決めていたため(※第6話参照)オーディションは形だけで、ふたりはあっさり合格したのだった。 


スヨン「(どきどき)はぁー、明日はいよいよ本読み(顔合わせを兼ねた台本読み合わせ会)かぁ」
ユリ「いよいよ、ソ・ドヨン先輩に会えるんやなぁ」
スヨン「ん? ソ・ドヨンにいさんやて?」
ユリ「そや。『春のワルツ』で魅せた孤高の天才ピアニストぶり、素敵やったわぁ。
  強引でわがままなオレさまキャラだけど、悲しい過去をしょってて、本当は誰よりも思いやりのある人」
スヨン「そやな。ウニョンのことを思い続けてて、ピリプとの友情もあって、人間の深さ、純粋さを上手く出してたな、ドヨンにいさんは」
ユリ「なによりハンサムやし…ん? こら自分、ドヨンにいさんてなんやねん? もう役者仲間感覚か?」
スヨン「ええやないの。明日には実際役者仲間になるんやし。撮影に入ってしばらくしたら、訊いてみるつもり。”ドヨン先輩…今日からオッパって呼んでええですか?”ってな(きゃっ)」
ユリ「”あいにくやけど、ボクはタイ人とは話をしないんだよ”」
スヨン「(がーん)そんなぁ…て、自分が返事すんな! ウチはタイ人違うわ!」
ユリ「ふ〜んだ」


ムジ鳥「あさ〜!」
ユリ「よし、いよいよ今日は本読みや。女優ユリの真骨頂見せたるで!」
スヨン「それもええが、まずは腹ごしらえばい(むんぎゅむんぎゅ)」
ユリ「キレンジャーか!」


がやがや、わいわい
ユリ「おー、さすがそうそうたるメンバーが集まってるなぁ」
スヨン「主演のキム・スミさんは映画に引き続き同じ役やね。さすが風格あるわぁ」
ユリ「ライバルはキム・テヒ先輩らしいで」
スヨン「うそ?」
ユリ「ホンマやって。こないだテレビでゆうてはったわ」
スヨン「うーむ。さすがやな。50過ぎても堂々とそうゆえる根拠のない自信、ウチも見習おう」
ユリ「そんでもって、あっちがヒロインのパク・チェギョンか…ぶっちゃけウチの方が可愛いな」
スヨン「それこそ根拠のない自信や。うらやましい」
どーん! どーん!(大太鼓)
スタッフ「ソ・ドヨンさまのおなぁりぃ!」
ユリ「わっ、わっ、ドヨン先輩やて」
スヨン「いよいよ本物にお目にかかれるのかぁ(どきどき)」
ぎぎぎぎ…!
スタッフ「おはようございます!(へへー)」
ドヨン「(ざすざす)♪にっぽんのみらいはうぉうぉう、うぉううぉう…。おはやう、皆の衆。はっはっはっは」
スヨン「おおー、えらい上機嫌やぞ」
ユリ「てか、なんで扇子パタパタさせてるねん」
スタッフ「それではさっそく読み合わせの方を始めさせていただきます」
ドヨン「うむ。巻いていこう(バサッバサッ)」
スヨン「お、大嵐浩太郎…!(コケ) なんでやねん?」
イ・ジェジン「さすが、日本の芸能に詳しいスヨンねえさん、あれが大嵐浩太郎の芸風とよくおわかりで」
スヨン「あ、自分はイ・ジェジン!」
ユリ「5人組アイドルバンド、FTIslandのメンバーで、担当はベースおよびサイドボーカル」
スヨンTOKIOでゆうなら山口達也的ポジションの」
ユリ「この度『止められない結婚』では、ウチ扮するソ・シムニョとスヨン扮するオン・トゥンニョにつきまとわれる役の」
スヨン「つまりワン家の四男坊サベクを演じる奴やな」
ジェジン「そんな説明的な台詞はええですよ。
  それよりドヨン先輩が大嵐浩太郎なのは…」
ユリ「なのは?」
ジェジン「実は先輩、このシットコムの前にMBCに時代劇に出演が決まってて、その準備をずっとしてたんですわ」
スヨン「ほお」
ジェジン「韓国の太秦と呼ばれる龍仁に足繁く通い、時代劇スタッフと仲良くなり、時代劇の所作を身につけたんです」
ユリ「さすが、ドヨン先輩。役者の鑑やわ」
ジェジン「そこまで入れ込んだドラマですが、局の都合でポシャってしまい、代わりに急遽決まったのがこの『止められない結婚』やったんです」
スヨン「それで未だに時代劇癖が抜けないと?」
ジェジン「そうみたいでっせ」
ユリ「そやけど、いちいちあない大上段に振りかぶられたら、一体どんなシットコムになるんやろ(不安)」


監督「(つかつか)お、サベクにトゥンニョにシムニョやないか。高校生組でもお仲良おなったか」
スヨン「あ、監督。今回はよろしゅうお願いします(ふかぶか)」
ユリ「右に同じ(ふかぶか)」
ジェジン「手ぇ抜くなよ」
スヨン「監督、ウチ、役作りして来たんやけど、見てもらえますか?」
監督「ほぉ、どんな?」
スヨン「ウチは不良の役どころやから、髪をいつも片眼に被さるように垂らして」
監督「ほぉ、往年の大女優、月影千草のようやな」
スヨン「いや、不良ですて。ほんで人に対しては正対しないで斜に構えて。
  ドスをきかせて『顔はやめなよ、ボディ、ボディ』…こんな風に」
ジェジン「幕の内一歩のリングサイドか?」
ユリ「アホか。三原じゅん子に決まってるやん」
監督「なんか判らんが素晴らしい!」
ユリ「(ずる)ええんかい?
監督「本番も是非それで行こう!
  で、シュムニョの方は? 何か役作りは?」
ユリ「えーと、ウチはブリッ子やから、ツインテールにして、いつも手鏡持ってようかなと思います」
監督「ふむふむ」
ユリ「ほんで鏡に向かって”テクマクマヤコンテクマクマヤコン綾瀬はるかみたいになーれ”っていつも話しかけるんです」
ジェジン「(C)赤塚不二夫や。不許可に決まってる」
監督「ええやないの。本番もそれで行こう!」
ジェジン「(こけっ)おい!」
ユリ「ゆうてみるもんやなぁ(喜)」
ジェジン「まさか、この監督、なんでもOKにする能なしなのでは?」


     トゥンニュとシムニョ


助監督「それでは読み合わせを始めまーす」
ドヨン「(バサッ)巻いていこう!」
助監督「ではサベクとトゥンニョ、シムニョの絡みから」
ユリ「はーい。
  アンニョン! …どこゆくん?
ジェジン「どこでもええがな…ん、自分もなんやねん?
スヨンまたサボる気ぃか?
ジェジン「ほっとけや
監督「ええで、ええで。なんでもええで」
ジェジン「なんでもええとか、やる気なくすって」
助監督「続きまして、長男ギベクの医院での絡み参ります」
ドヨン「あいや、お放しめされい! どーん!
ストーカー「あっ(こけ)」
ドヨン「あ、いったいぃ、ぬわにをいたすかぁ!(ちょーん)
  度重なる狼藉、もう我慢ならんわ! いっそストーカーにて訴えて進ぜよう
パク・チェギョン「ストーカー? 恋人をストーカーやなんて、ひどいやないの
ドヨン「問答無用! (バサー)手打ちにしてくれるわ!
チェギョン「ぐわーっ
スヨン「あーあ、ヒロイン殺されちゃったよ」
ユリ「アドリブ入れすぎや」
監督「ええで、ええで。ばっちりや」
スヨン「さすがにこれはあかんやろ(呆)」


助監督「ドヨンさんにヅラを被せたらいかがでしょう?」
監督「ヅラ?」
助監督「今のままではいつまでも時代劇気分が抜けません。
  せめて時代劇ではありえへん髪型にしたら、ドヨンさんの意識も変わるのではないかと」
監督「そうやねえ。でも、そんな都合のええヅラ、今ある?」
助監督「一応ヘアメイクさんに借りて来たのがこれですけど(ぺろん)」
スヨン「わぁ、ダサ。コントのヅラやん」
ユリ「ホンマや。あれで鼻水のメイクしたらまるっきりゴルゴ松本やな」


    


監督「おお、これはええやないの。これにしよ」
スヨン「(かくん)筋金入りのテキトーさやな」
助監督「問題はこれをドヨンさんが被ってくれるかですが…」
監督「それはお願いするしかなかろう。自分、土下寝して来いや」
助監督「とほほ」


ドヨン「あいわかった。拙者とて鬼ではない。
  良きドラマ成就のために必要とあらば、このソ・ドヨン、いつでもこの腹かっさばいて、はぁ、死んでみせるわーい」
助監督「いやたかだかヅラ一枚被るのに、そんな大げさな」
ドヨン「いざ、装着!(かちゃ)」


    


ユリ「ぶっ」
スヨン「わ、ださ。『春のワルツ』の渋さがどこにもない」
監督「ええで、ええで。ほな続きをやるか」
助監督「ほんなら、パク・チェギョンさんからお願いします」
チェギョン「はい。
  あんた、いったい誰なん?
ドヨン「あどでーぼくでーおーぎぐだっだらでー
スヨン「わー、いきなりバナナマンになった」
監督「はっはっは、ええでええで」
ユリ「大丈夫か、このドラマ?(呆)」






※キム・スミ、「ライバルはキム・テヒ」若い時の写真を公開…
 http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=4&ai_id=71503
     若い時のキム・スミ