第79話 KARA、トリオになる

こんこん、こんこん
ソヒョン「おんや? 誰か来たで」
ジェシカ「新入りが挨拶に来たんちゃうか?」
ソニ「ウチら自身がど新人やってのに、誰が挨拶に来るゆうんじゃ、ボケ」
ジェシカ「しゃーけど、こないだJOOとかゆうチンチクリンが来たやないか」
ユリ「あれは珍しい事件やった。ま、例外やろ」
こんこん、こんこん
ヒョヨン「お、また叩いてる。早く出た方がええんとちゃう?」
ソヒョン「しゃあないなぁ。そやけど、これが新聞の勧誘やヤクルトのおばはんやったら即閉めるで」
ソニ「新聞やヤクルトが局の楽屋まで来るかいな」
ユナ「てかさー、このブログ、ウチらの楽屋に誰ぞ訪ねて来るゆうシチュエーションが多ない?」
スヨン「そーかな?」
ソニ「たぶん形而上の存在のお方が新たなシチュエーションを考えるのが面倒なんやろう」
ティパニ「つまり作者の手抜きってことやな」
ソニ「しーっ、そんなこと直接ゆうたらあかん」
こんこん、こんこんこんこんこんこ!  
ユナ「あ、怒ってはる」
ソヒョン「仕方ない、出よう…はーい、どなた?」
がちゃ
ギュリ「(ぬっ)待たせ過ぎじゃ、ドアホ」
スンヨン「ホンマやで。先輩がわざわざ訪ねて来てやったゆうのに」
ニコル「まったく。アジア人はノック知らないんかと思うたーヨ」
テヨン「そおゆう貴様らはいったい誰や?」
ギュリ「(かくん)認知症か! こないだMnetで一緒やったやないか。KARAやKARA」
テヨン「中国の王朝の?」
ギュリ「それは“唐”(うきーっ)」
ソヒョン「ほな東京オリンピックで普及したとゆう…」
ギュリ「KARAーテレビでもないわっ。強引な上に半世紀も前のネタやないけ(怒)」
スンヨン「まぁまぁ、こんな奴らやっちゅうことくらい判ってたやないか。いちいち怒ってたら血圧上がるで」
ギュリ「そ、そやったな。とにかく、ウチらは自分らのライバルグループKARAや。思い出したか」
ソニ「ライバルとはこれっぽっちも思うてないけど、うっすら思い出したわ」
ヒョヨン「KARAゆうたら同期やないか。なんで先輩風吹かすねん? ウチらの10分の1も売れてへんくせに」
スンヨン「年齢的に先輩ゆうとるんじゃ。年上をリスペクトせい!」
ジェシカ「そんな小学生みたいな顔で年上ゆわれてもなぁ」
スンヨン「(むか)き、気にしてることを」
ニコル「でもでも、目を凝らしたら全身にワサワサと子どもにはないものが見えるヨ」
ソヒョン「あ、ホンマや」
ユリ「確かに、こんな毛深い子どもはおるまい」
スンヨン「うう、もっと気にしとることをズケズケと」
ギュリ「まぁ言い出したのはニコルやけどな」
スンヨン「とにかく、これで先輩やと認めた訳やな」
テヨン「いやまだ判らんど。イエティの子どもならこれくらい毛深いかもしれん。自分、イエティか?」
スンヨン「(うきーっ)UMAがのこのこ都会に出て来てアイドル目指すか、ボケ! ゴリラがプロ野球選手になる以上に無茶なことやないか」
ソニ「む、ゴリラがプロ野球選手になるとは面白い。いずれ映画の企画として中国に売り込んでみよう」
スンヨン「どーでもええ話ばっかりするな」
ニコル「いつまでたっても本題に入れないヨ」
ユナ「お、自分はうちとこのマンネより年下やろ? ほんならちゃんとウチらをリスペクトして、敬語を使えや」
ジェシカ「そーだそーだ。貢物のひとつでも持って来い」
ニコル「そっちの10分の1も売れてへんから貢物は無理やけど、敬語ならちゃんと使うてるだーヨ」
ヒョヨン「どこがやねん」
ニコル「文章の最後にちゃんと“ヨ”つけてるーヨ。韓国では最後に“ヨ”つければ敬語になるて聞いたヨ」
スヨン「(カクン)『シンデレラのお姉さん』かっ!」
ソニ「未来の話をするなって」
テヨン「いつまでも脱線してばかりおらんと、いったい何の用や? こっちは本番前で忙しいんやで」
ギュリ「脱線しとるんはそっちやろーが!(うきゃー)」
ニコル「どうどう」
スンヨン「実は…ウチらを見てなんか気づかんか?」
ジェシカ「なんか…? そおゆうたら貧乏くさいかな?」
ギュリ「こないだ妹の給食費貸してくれゆうて泣きついてきたのは誰や!(ぎゃおーす!) よお他人のこと貧乏くさいとかゆえたもんやな」
ジェシカ「ぴーぴー」
ソヒョン「おや? KARAて3人組やった?」
スンヨン「さすが少女時代いち冷静な娘。よお気づいたな(ふふふ)」
ソニ「3人組やないとすると何人組やねん?」
ソヒョン「確か8人組やったような」
ギュリ「じぇんじぇん冷静やないやないかっ」
テヨン「まぁまぁ、落ち着け。ウチらの中にKARAなんぞに興味あるモンがひとりもおらんだけのことやがな」
スンヨン「ええ加減にせぇ。終いにゃ暴れるど」
テヨン「む、イエティに暴れられたらかなわん。ここは話を聞くとしよう」
ギュリ「まったく、用件いっこ伝えるのも時間食うてかなわんわ。とにかく、話ちゅうのはウチらのメンボ構成のことや。実は、今日来てへんキム・ソンヒやが、彼女が脱退することになったんや」
テヨン「なんやてぇ?!(がーん)」
ニコル「わ、えらい驚いてるーヨ」
テヨン「てことは、KARAは今まで4人組やったんかい?!」
ギュリ「(ずるっ)そこかよ!」
スンヨン「マジで話が進まんやないかっ!(どったんばったん)」
ユナ「わ、イエティが暴れだした!」
ヒョヨン「あかん、隣の楽屋はイ・ジョンヒョンねえさんや。あの人に怒られたらマジ殺されるから静かにさせれ」
ニコル「ほれ、まい泉のかつサンドあげるから落ち着くだーヨ」
スンヨン「がうがう(パクパク)」
ジェシカ「あ、静かになった」
ティパニ「なんや、スヨンとあまり変わらない飼い方やな(笑)」
スヨン「飼うとかゆうな」
ソニ「そんで、なんでソンヒが辞めることになったんでっか?」
ギュリ「公式には学業に専念するためゆうことにしてあるけど、実は親バレが原因やねん」
ユナ「はぁ? 今まで親にゆうてなかったん?」
ギュリ「そやねん。ある日父親の同僚が借りて来たビデオにソンヒが映っておって、大騒ぎになったらしい。で、親族会議の結果、即刻引退を勧告されたゆう訳や」
ティパニ「なんかAV嬢の顛末みたいやなぁ」
スンヨン「AV嬢ゆうな。せめて仲村みうくらいにしとけ」
ティパニ「大して変わらんがな(呆)」
ギュリ「とにかくそんな訳で、当面活動を休止するんで、その報告に来たっちゅう訳や」
テヨン「それだけゆうのに、えらい時間かけたもんやな(嗤)」
スンヨン「貴様らがちゃんと話を聞かんからやないかっ(がおー)」
スヨン「そんで、しばらく休んでどおすんの? 今後は3人組でやっていくんかい?」
ニコル「まぁそれも考えたけど」
ソヒョン「判った。誰が三味線で、誰がギターを弾くかで揉めたんやな」
ギュリ「は?」
ユリ「そら三味線は一番年上て決まってるがな。そんでもってセンターポジションや」
ティパニ「ほなギュリが歌江ねえさん役か」
テヨン「で、イエティが照江で、ニコリンが花江やな」
スンヨン「かしまし娘かっ!」
ギュリ「漫才なんかせんわ、ボケッ!」
ソヒョン「やればええのに。どうせアイドルとしてはお先真っ暗なんやから」
スンヨン「やかましーわ。今後のメンボ次第で、活路が開けるかもしれんがな」
ソニ「他力本願かよ(とほほ)」
ジェシカ「ん? てことは、追加メンボを募って活動を続けるつもりかいな?」
ニコル「そうだーヨ。そんでメンバーが決まるまでの間活動は休止ってことだーヨ」
ユリ「なるほど、やっと話が見えた」
テヨン「それだけゆうのに、えらい時間かけたもんやな(嗤)」
スンヨン「ええ加減にせえ!」
ソヒョン「そやけど、メンバー次第じゃさらにツクツクなグループになり果てる可能性もあるな」
ギュリ「やなことゆうなよ」
ヒョヨン「よし、ここはひとつウチが得意の占いで新しいメンボを視てしんぜよう」
ニコル「そんな特技あったん?」
ヒョヨン「うむ。行きつけの占い師のおばはん見てたら、なんとなく覚えてな」
ソヒョン「占術って、そんな門前の小僧システムで覚えられるものなん?」
ヒョヨン「そおゆうてもなかなかの的中率なんやで。こないだもケネディの暗殺予言したし」
ソニ「いつの話だよ」
ヒョヨン「(じゃらじゃらじゃら…ちーん)出ました! 新メンボの顔が見えますぞ…うむうむ…なるほど」
ギュリ「何がなるほどなん? どおゆうメンボか教えてーな」
ヒョヨン「そうやな、自分らの新しいメンボはふたりのよおじゃ」
スンヨン「ふたり? ほなウチらは5人組になるってことか?」
ヒョヨン「数年間は5人組のままやが、結成25周年目に解散すると出ておる」
ニコル「25年? KARAってそんなに持続するの? 大人気グループだーヨ」
ヒョヨン「む…今のは別のグループと間違うたかもしれん」
ニコル「なんだよ(こけ)」
ヒョヨン「とにかく新メンボのうちひとりは、イナゴの相が出ておるな」
ギュリ「イナゴの相?」
ヒョヨン「左様。その女はイナゴの生まれ変わりか、ショッカーに改造されてイナゴ体質になったか、あるいはイナゴを食べるのが大好きか、そのうちのどれかやろうな」
ギュリ「どれもぞっとせんけど、現実的な可能性として3番目やないか?」
スンヨン「つまり光州出身の女か」
ギュリ「違いない」
ユナ「よおそんなめちゃくちゃな占いで、そこまで導き出せるな(呆)」
ギュリ「こっちは他人事じゃないんだよ」
スンヨン「真剣に推理すれば、これくらいの謎解き、どーってことはないわ」
ニコル「ほんで? もひとりのメンバーは?」
ヒョヨン「そやな、でかい段ボールが見える」
スンヨン「でかい段ボール?」
ヒョヨン「布団くらいでかい段ボールや。それにくるまって生活しとるホームレスか、壁のような段ボールを仕事道具に使っている“もう中学生”か、どちらかの姿が見える」
ギュリ「ホームレスにしろ“もう中”にしろ、共通点は中学生…つまり現在中学生のアイドル候補ってことやな」
ユナ「ぴゃー、女鹿刑事も驚きの推理力」
ヒョヨン「どうやらそのようやな。そのふたりを加えた5人で“ろっきゅーばっせ”とかくだらない歌を歌いながら、ピョンピョン跳ねている姿が見えるで」
ニコル「えー? そんなガキっぽいのいややなぁ」
ヒョヨン「ニコリンなんか、“キャオ”といかゆって跳ねることになるで」
ニコル「わー、勘弁勘弁」
スンヨン「そ、それで、ウチらは人気出るんかい?」
ヒョヨン「人気ね…(むにゃむにゃ)出ました! この国では相変わらずパッとせんけど、海の向こうで大人気になるらしい」
ギュリ「海の向こう?」
ニコル「おー、ウチの故郷アメリカだーヨ。間違いない」
スンヨン「ほーか。つまり5人組になってアメリカで大人気、グラミー賞を受賞、とそおゆう占いの結果やな?」
ヒョヨン「アメリカとはゆーてないし、グラミー賞なんかさっぱり見えてへんけど、そお思い込みたいならどーぞ」
ギュリ「間違いなかろう。気は進まんかったが、この楽屋に挨拶に来てよかった」
スンヨン「うむ、未来は明るいようや」
ニコル「塞いでた気持ちが急に楽になっただーヨ。ほんじゃ、また体制が整ったら挨拶に来るだーヨ」
ギュリ「そやな。新曲での活動、人気出るように応援してるで。ほんじゃまた」
スンヨン「ばいばいきーん!」
ばたん
ソニ「現金な奴らやな。急にニコニコして帰って行ったで」
ユリ「あいつらに応援されんでも新曲はとっくに1位やっての」
ソヒョン「それにしても、おねえの占い能力すごいやん。あんなにはっきり未来が視えるもんなん?」
ヒョヨン「視えるはずないやんか。ちゃんと修業した訳でもないのに」
ソヒョン「あら(こけっ)。ほな今の占いは…」
ヒョヨン「全部口から出まかせや」
ジェシカ「(ぴゃー)マジで?」
ヒョヨン「うん」
ユナ「てことはKARAの新メンボの内ひとりが光州出身で、もひとりが中学生ゆう…」
ヒョヨン「はずがない(笑)」
ティパニ「海の向こうで大人気ゆうのも?」
ヒョヨン「うそぴょーん。ま、ひょっとしたら土人になら受けるかもしれんけどな(がっはっは)」
ソニ「土人とかゆうな。掲載禁止になるやないか」
ナレーション「しかし、実際にその数か月後、ショッカー出身の運動神経抜群の少女と中学生の少女が加入し、ヒョヨンのインチキ占いは的中した。 
 さらに、海の向こうの日本人が土人並みの感性だったことはこの時の彼女らには知る由もなかったのである」






鳴り物入りで登場した少女時代ですら、デビュー当時の状況をご存じのファンは多くないようだ(日本では)。いわんやまったく注目されなかったKARAにおいてをやである。
 実を言うと作者もKARAの当時のことはよく知らない。興味なかったし、今と比べてその頃の女子K-Popアイドルの情報はとても少なかったのである。
 とにかく、本文にもある通り、KARAはデビュー当時ギュリ、スンヨン、ソンヒ、ニコルの4人組だった。
 当時のパフォーマンスはこんな感じ。


    


 この頃はBoAが大人気で、アイドル候補生の多くがBoAに憧れており、そのせいかなんとなく雰囲気がBoAっぽい。これは少女時代もそうで、当時のごく自然な方向性だったと思うが、そこに一石を投じたのがWonder Girlsの『Tell Me』である。
 制服を着て女子学生であることを強くアピールするやり方が大受けしたため、少女時代も2曲目からプリティ路線に変更、ソンヒの脱退などでゴタゴタしていたKARAも遅ればせながら『Rock U』でイメージチェンジした。
 この女子学生コンセプトは今にいたるもガールズグループの主流となっている。


     『Rock U』2008年7月
 

 今見ると大変可愛らしいが、当時の作者はあまりの幼稚さとヘタさに(特にハラグー)「こりゃあかんわ」と思ったものだった。
 ただし当時の2ちゃん少女時代スレッドには、一見即KARAペンに転んだ奴らも多くいたから、日本人に適性があったのは間違いない。


 作者がKARAと言う存在を意識したのはティファニーがMCをやっていた『少年少女歌謡白書』を降板したため、スンヨンが後任MCに抜擢された時(2008年6月30日)。作者が「げ、パニやんよりずっと可愛ええやん」と思って調べたら、それがKARAのスンヨンであった。当時「そおゆうたらKARAちゅうグループもおったような」とぼんやり記憶していたことを憶えている。


     『少年少女歌謡白書』でのハン・スンヨン


 この直後に前述の『Rock U』が出る訳だが、これも前述の理由で、それ以上興味を抱くことはなかった。
 この頃の少女時代はテヨンの熱愛報道や沈黙事件などファンの心理を揺さぶるようなニュースが多く、純正ソシペンとしてはとてもKARAどころではなかったし。
 次にKARAを強く意識するのは『青春不敗』(2009年10月〜)でのハラグーの活躍によるものであった。


※「未来の話をするなって」…“ヨ”をつけるつけないのやり取りはムン・グニョンチョン・ジョンミョンによる名場面だが、いかんせん『シンデレラのお姉さん』は2010年放映なので、フライングなのだった(この話は2008年2月)。