第63話 少年少女歌謡白書:準備篇

ティパニ「MCィ? ウ、ウチが?」
クッキーマン「うん」
ユナ「アホな…」
ヒョヨン「ヒップホップのMC(Microphone controller)ってことかな?」
テヨン「海兵隊(Marine corps)入隊ってことじゃね?」
ソニ「マインドコントロールとか?」
ソヒョン「まさかモンテカルロ法?」
ジェシカ「わかった。メンバーチェンジや。パニが別人と替わるんや」
ユナ「あー、なるほど。それはめでたい」
ユリ「やれやれ、やっとかぁ」
ティパニ「なにがめでたいか! ウチはやめへんで」
スヨン「ほんならMCてなによ?」
クッキーマン「いや、いわゆる司会、Master of ceremonyやけど…。(Metとはいえ)ちゃんとしたテレビ番組からオファーが来た」
少女時代「えーっ!」
スヨン「こ、こんな言葉の不便な奴に司会させたらあかんやん」
テヨン「なに言い出すかわからへんで」
ティパニ「失礼な。もお韓国語なんかパンペキやっちゅうねん」
ソニ「言うソバからこれや(呆)」
クッキーマン「でもまぁ今はパニが一番人気あるし、喋るのは好きそうやし」
ティパニ「うんうん、好き好き」
クッキーマン「番組のイメージにぴったりやないかと向こうのプロデューサーさんがおっしゃってるんや」
ユリ「番組のイメージってなんや? エロい番組ならウチかて参戦する用意はあるで」
クッキーマン「デビューしたてでエロい番組の訳あるか。『少年少女歌謡白書』ゆうて、毎日歌謡曲を紹介する番組や」
ヒョヨン「『少年少女歌謡白書(ソニョンソニョガヨーベクソ)』?」
クッキーマン「そ。略して『ソソガベ(SSGB)』ね」
ソヒョン「なんとなく冨野監督作品のメカっぽい名前」
ユナ「(無視)今”毎日”てゆわんかった?」
クッキーマン「うむ。月曜から金曜までの17〜18時放送。
  ”最新人気歌謡チャートTop100と特別なランキングで構成された新概念歌謡チャートショー番組”だそうや。
  つまり、毎日100曲紹介しつつ、曜日ごとのテーマに沿ってもっと紹介する、紹介しっぱなしの内容らしい」
ソニ「ぴゃー、そんなん受けたら、他なんも出来へんやん」
ヒョヨン「脳みそ、歌謡曲漬けになってまうなぁ」
テヨン「拘束時間が半端なさそう」
ユリ「ここは謹んで辞退させて貰うわ」
ジェシカ「ウチも」
ユナ「おねえ、よかったなぁ(握手)。こんなに早く単独のレギュラーが決まるなんて」
ティパニ「さ、さすがに、これは荷が重いかも(ぶるぶる)。ウチに捌けるやろうか」
クッキーマン「安心せい。誰もピンで司会とはゆうとらん。もうひとりキム・へソンくんがキャスティングされとる。
  彼がしっかりサポートしてくれるはずやし、楽しくお喋りしながら進行すればええんや」
ティパニ「キム・へソン?」
ヒョヨン「神話の?」
テヨン「それはシン・ヘソンにいさんや」
ユリ「じゃあKBSのお天気お姉さん?」
クッキーマン「違う」
テヨン「チャングムのおかん?」
クッキーマン「それも違う。『思いっきりハイキック!』に出とる若手俳優や」
スヨン「ええっ(がばっ!) ひょっとしてイケメン兄弟の?」
クッキーマン「そおや」
ヒョヨン「どっち、どっち、どっち?(すがりっ)」
クッキーマン「わぁ、引っ張るな。兄貴役の方や」
スヨン「(すっく)ここは謹んで受けさせて頂きます!」
テヨン「涎、涎(呆)」
クッキーマン「はぁ? さっきはイヤヤゆうとったやろ」
スヨン「いえウチはそんなことはひと言も」
クッキーマン「あからさまにそんな顔してたやないか」
ヒョヨン「ウチは”脳みそ、歌謡曲漬けにしたいなぁ”てゆいました。是非ご検討ください(へへー)」
クッキーマン「今さら無理やって」
ユリ/ジェシカ「クッキーマンのケチ!」
クッキーマン「ワシの意見違うわ。そもそも先方がティパニを指定して来たんやから」
ティパニ「はっはっは。みんなの無念な気持ちはよおわかった。その性欲、ウチが代表して満たしてきましょう」
ヒョヨン「ちくしょー!」
ソヒョン「まるで『青少年性白書』やな(笑)」
クッキーマン「そおゆう番組じゃない!」


ナレーション:んで、オーディションも無事に受かり…
ティパニ「おはよーございます。挨拶に参りました」
PD「やぁ、おはよー。これからよろしくな」
ティパニ「へえ(ぺこり)」
キム・ヘソン「(しゅたっ)キム・ヘソン登場!」
PD「お、メインMCも来たようやで」
ヘソン「(ふりふり)このワシが収録中に虎視眈々と企んでいる事、それは世界征服でもない大統領暗殺でもない、スタッフみんなを集めてのボウリング大会MCリーダー・キム・ヘソンです」
PD「おお、今日もハイテンションやね、ヘソンくん。こっちがきみの相方、少女時代のティパニちゃんや」
ヘソン「(ふりふり)んーよろしく、MCリーダー・キム・ヘソンンーーです」
ティパニ「ずっとクビを横に振ってますけど、大丈夫なんでっか?」
PD「そおゆうクセの奴っちゃ。気にするな」
ティパニ「はぁ。ほんならよろしくですぅ」
ヘソン「この世界で偉いのは金持ってる奴でも喧嘩強い奴でもない月金のレギュラーをこなせる奴MCリーダー・キム・ヘソンです」
ティパニ「ただ早口なだけちゃうか?(呆)」


ぎぃー
PD「ここがスタジオになってるんや」
ティパニ「ぴゃー、狭いなぁ。カメラマン入れんの?」
PD「カメラマンはおらん」
ティパニ「いない?(ぱちくり)これテレビジョンですよね?」
PD「そや。これがチミとヘソンくんが座るテーブルで」
ヘソン「えらい壁に向いとるなぁ」
PD「その前に棒があるやろ?」
ティパニ「へえ。藪からスティックにありますな」
PD「そこにカメラを固定する。これや(じゃん)」
ティパニ「そ、それは、家庭用の…!」
PD「50万ウォンもする日本製やで。これに大枚叩いて超広角レンズつけるさかい、多少のアクションあってもバッチリ画角内に納まるちゅう寸法や」
ティパニ「び、貧乏くさー」
PD「なんか文句ある?」
ティパニ「…いやええでしょう。ウチかてロス暴動を生き抜いたLA娘や。肝は据わってるで。受けた以上はムッチリ頑張ります」
ヘソン「そう問題なのはカメラが家庭用とかカメラマンがいないことではなくそもそも映らないこと、映ってさえいればワシの技術で必ずウケは狙えるMCリーダー・キム・ヘソンです」
PD「頼もしいなぁ」
ティパニ「で、平野レミのケータリング車は?」
PD「は?」
ティパニ「なまり亭のセットはどこですねん?」
PD「いや、『Matthew's Best Hit TV』違うから」
ティパニ「えー、ほとんど同じシステムやん」
PD「確かに似てるけど」
ティパニ「やっぱ認めるんやな」
PD「似てるけど、あっちよりずっと予算ないねん」
ティパニ「(ずこ)やる気なくなるなぁ、もお」
PD「それとゆうのも、テーブルの下にスヨンちゃんが潜むスペースを急遽作ったからなんやで」
ティパニ「スヨン? どゆこと?」
スヨン「(ぬぅ)それは自分を助けるためや」
ティパニ「わっ」
スヨン「ドラマで忙しいのに、ウチ自らPDさんに直訴して、この潜み穴を作ってもらうたんや」
PD「そうそう。ティパニちゃんは帰国子女やから、韓国語がまだ苦手やて?
  スヨンちゃんに聞いたわ」
ティパニ「とんなここないどすえ」
PD「もお間違えてるやン(ずい)」
スヨン「普段と違って、パブリックな放送では言い間違いなぞ許されないんやで。それをウチがこの穴に潜んで、正してやろうと親切にもゆうとるんや」
ヘソン「そう、殺人よりも放火よりも絶対にやってはいけない事、それは公共放送での言い間違いMCリーダー・キム・ヘソンです」
ティパニ「養鶏なお世話や。大体ウチを救うためとかゆうて、ヘソンにいさんに取り入ろうと魂胆が奈良奈良や」
スヨン「奈良奈良?」
ヘソン「それをゆうなら見え見えでは?」
ティパニ「そ、そうともゆうかも、てへへ(にぱっ)」
PD「お、可愛い。(ふーむ)たまに言い間違えるのもええかもしれんな。それにヘソンくんが今のように訂正してくれるなら、ふたりで何とかやっていけるのでは?」
スヨン「えー? ウチの力は必要ですって(じたばた) ヘソンにいさんかて、ウチがおった方が安心でしょ?」
ヘソン「いや特に」
スヨン「あらっ(こけ)」
ティパニ「ほーら。自分なんかOut of ganchuなんやって」
スヨン「そ、そ、そんなはずは…」
ヘソン「少女時代で一番好きなのはティパニちゃんでもスヨンちゃんでもなくちびっ子リーダーテヨンちゃんなのです申し訳ないMCリーダー・キム・ヘソンです」
PD「あ、ワシもテヨンちゃん好き(喜)」
スヨン「テングやてぇ?(びくーん)」←捕食関係
ティパニ「おのれテヨンめ。すでにしてウチの相方とPDを取り込むとは許すまじ。絶対ゲストに呼んでやらんからな(うきーっ)」
ナレーション:しかし、テヨンがスタジオに乗り込んでくる日はさほど遠くなかったのだった。






※少年少女歌謡白書…2007年11月15日(木)よりはじまった、Mnetの超低予算帯番組。
 ティファニーとキム・ヘソンが初代MCを務めた(ティファニーは翌年6月13日まで)。
 本編にあるとおり固定カメラ一台で、VTRが観れる以外はほぼラジオのりの番組。
 152回も出演した割にはそれほど話題になっていないのは、やはり番組が地味だからだろう。