第50話 少女と軍隊(後篇)

21(承前)
テヨン「(ごほごほ)もうもうとしたガスが…」
案内兵「いや、埃ですから」
テヨン「って、なんじゃここは!?」
ソヒョン「うふふふ、やっぱりここにあったのね。大量殺戮兵器が」
案内兵「勘弁してくださいよぉ。ガスとか大量殺戮兵器とか、外部の人間が聞いたら誤解されるやないですか」
ソヒョン「え、違うんですか?」
案内兵「当たり前です!」
テヨン「あー、ガスが晴れたら、大量のポスターと芸能雑誌とCDが!」
ソヒョン「こ、これは、ワンダーガールズ!」
案内兵「うう、やっぱりばれてもうた(汗)」
テヨン「一体どうゆうことや? 兵隊さんら、みんなウチらの熱狂的なペンやなかったんか?」
案内兵「も、もちろんそうですよ。基地指令以下、全員、少女時代様を崇拝しております」
テヨン「そんなら、この大量のワンゴルグッズはなんやねん?」
案内兵「それは…(ううっ)全員が少女時代様だけのペンという訳でもなく…」
ソヒョン「ははぁ、ワンゴルペンも大量におったけど、ウチらの機嫌をとるために、奴らのグッズはこうして隠してしもうたんか」
案内兵「ま、まぁ、そんなところで」
テヨン「むしろ、ワンゴルペンの方が数は多かったんやないん?」
案内兵「それもまぁそんなところで(ぽりぽり)。やっぱりワンダーガールズはNo.1ガールズグループですよって」
テヨン「うきーっ! パボにしくさって。今すぐ自分らの大事なこのワンゴルグッズに火ぃつけてやる!」
ソヒョン「お、ええな(喜)。さっき見た武器庫にナパーム弾あったで」
案内兵「(ひーっ)勘弁してくださいよぉ」
テヨン「ほんなら、代わりに戦車に乗っけてぇな」
案内兵「は?」
ソヒョン「おお、それはナイスアイデア! K1、K1!(どんどんどん)」
案内兵「さ、最悪やぁ(泣)」


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キュラキュラキュラ…どごごごごごっ!
ユナ「お、K1戦車が走ってきた」
ジェシカ「ややっ、乗ってるのはテヨンにマンネやないか」
ティパニ「まさに『パボが戦車でやって来た』やな」
テヨン「あーあー、そこの少女時代エロ担当諸君! 国防を担う大切な兵隊さんに性病をうつさないように及んでいただきたい!」
ユナ「誰が性病じゃ!」
ジェシカ「そんなこと拡声器で怒鳴らんでええ!」
ティパニ「基地中に響き渡ってるやないか!」
ユナ「だいたい、なんで戦車なんかに乗ってるねん?」
テヨン「これか、これはカクカクシカジカで…」
案内兵「拡声器はやめてください」
ジェシカ「な、なんやとー? ウチらのペンの振りして、実はワンゴルペンやったやと?」
案内兵「いえ、そうではなく、ワンゴルペンもいますけど…」
ジェシカ「聞く耳もたーん! こうなったら全員の棒給1ウォンも残さずむしり取ったあげく、2〜3日は足腰立たへんようにしごいてやる」
ティパニ「この場合、文字通りしごくってことです(笑)」
案内兵「(ぞー)笑って言うことやないですよ」
テヨン「まぁほどほどにしとき。ウチとマンネはワンゴルグッズ灰にした後、国境行って主砲を試し撃ちしてくるわ」
ユナ「戦争になるがな(笑)」
テヨン「かまへんかまへん、戦争になってもウチらが前線に出る訳ちゃうから」
ソヒョン「そうそう。せいぜいカンタにいさんの頭上を実弾が飛び交うだけやって」
テヨン「ほんなら、バイバイキーン!」
案内兵「もう勘弁してくださいよーーーー」
キュラキュラキュラ…
ジェシカ「行ってもうた」
ユナ「主砲の試し撃ちは、ちょっと面白そうやったな」
ティパニ「そやな。ウチらもがんばって、基地中の兵隊さんの主砲を試し撃ちさせてやろう」
ジェシカ「おー! ワンゴルなんぞにうつつを抜かした罰じゃ。全員腎虚になるまで搾り取ったる」


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ナレーション「兵隊さんにも昼が来る! …あんにょん、中井貴一です。
  さきほど基地内にとどろき渡った”カクカクシカジカ”の暴露話に、上機嫌で特殊部隊用レーションのキャンディバーを舐めていたスヨンさんの顔色が変わりましたよ」
スヨン「今の話はホンマでっか?」
ノ少尉「え、な、なんのことでしょう?」
スヨン「とぼけてもあきまへん。ウチらワンゴルに関してはいささか過敏になることがあるんですわ。
  ワンゴルペンのくせにウチらのペンと謀って、ウチらをからかっておるんやったら、事務所を通して正式に抗議さしてもらいまっせ」
ユリ「そーだそーだ!」
ノ少尉「誤解ですって」
ユリ「もう少し飯を食わせないと、食神の怒りは収まりまへんで」
ノ少尉「ま、まだ食うんでっか?」
スヨン「怒りで極端にカロリーを消化してしもうた。もお腹ぺこや」
ノ少尉「い、異常体質…」
スヨン「なんやてー!(がおーっ) すぐに食料持って来ないと裁判沙汰に巻き込んで、面倒なことにしてやるからな!」
ノ少尉「と言われましても、もお食料は全部…」
スヨン「いや、まだ災害時用に備蓄してある救難食糧ERがあるはず」
ノ少尉「な、なんでそれを?」
スヨン「ウチの嗅覚を舐めるなよ!」
ノ少尉「がーん!」
ナレーション「舐めるなよと言われても、ERは乾燥食料で、厳重にアルミパックされてるので、警察犬でも嗅ぎ分けられないと思うんですが、やっぱり異常体質なんでしょうか?」
スヨン「なんやてぇ!?(ギャオー!)」
ナレーション「ひゃー、くわばらくわばら。
  すっかりあきらめたのか、ノ少尉は黙って倉庫を開けました。そこにはSOLAS条約準拠の緊急食料ER、その名も”すーぱーそに子”が大量に!」
スヨン「うひょー、美味そう!」
ノ少尉「美味そうに見えますか、これが?」
ユリ「質より量で味を判定する奴やから」
ソニ「なんかウチが食われるみたいでいややなぁ」


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ひゅるるる…ぼっかーん!
テヨン「わはははは! ふっとんだふっとんだ! これは愉快。それ、もう一発いこう、もう一発!」
ソヒョン「ラジャー! 再度主砲発射用意! エネルギー充填120%!(ぴぴぴぴぴ…)」
テヨン「目標、北! てーっ!」
ソヒョン「主砲、発射!(カチ)」
ずどーん!
テヨン/ソヒョン「うひょー、何度撃っても快感!」
案内兵「(泣)戦争や、これは間違いなく戦争や…」
どーん…どーん…


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がちゃ
カンタ「…は」
上官「アン二兵、出てよろしい」
カンタ「今頃ですか? 昨日の夕方には出してもらえると思うてましたが」
上官「いろいろ大変やったんや。今朝になってようやっと自分のこと思い出したくらいや」
カンタ「何かあったんでありますか? そうゆうたら夕べは一晩中砲撃の音がしてたような」
上官「砲撃は一晩中続くは、司令以下男性兵全員の主砲が強制的に発射されるは、えらい騒ぎやった。
  自分、独房の中におってかえって助かったかもしれんぞ」
カンタ「いったい何が…? いやその前に食堂に行こう。飯も差し入れてくれへんから、お腹ペコペコですわ」
上官「それは気の毒に。そやけど食堂に行っても無駄やぞ」
カンタ「え?」
上官「当基地にはもはや食するに値するものはミミズ一匹存在せん。
  来週の定期補給まで、全員断食状態や」
カンタ「マジっすか(がーん) …ああ、なんだか事情がわかってきました。少女時代のせいですね」
上官「その通りである。さすがにわかっとるやんけ」
カンタ「奴らが通った後は草木も生えないと練習生時代に言われてたのを思い出しました。デビューしておとなしくなったと思ってたんですが、興奮してタガが外れたようですね」
上官「自分とこの事務所も、よおあんな猛獣飼ってるな。感心するわ」
カンタ「奴らを飼い慣らしたら北に対する切り札になりまっせ」
上官「あかんて、初号機以上に危険すぎるわ」
カンタ「それにしても猛獣とは(笑) 昨日までは天使ゆうてはったのに」
上官「そうやな…いずれにしても人間でなかったことは確かや」


26
わいわい、がやがや
ジュンス「なぁなぁ、自分らカンタにいさんの面会に行ったんやて? どやった?」
ユリ「最高でしたよ」
ユチョン「ホンマに?」
ソニ「へえ。何人も案内兵がついて、基地中全部見せてくれましたし」
スヨン「飯美味かったなぁ」
ジェジュン「えー、ミリ飯も食うたん? ええなぁ」
ソヒョン「それどころか、戦車に乗って主砲撃たせてもらいました」
ジュンス「(ぴゃー)破格の待遇やん」
ヒョヨン「とにかくえらい喜ばれたよな」
ユナ「うん。また行きたいわぁ。小遣いなくなったら、ぜったいまた行こうっと」
ジュンス「戦車に乗れたのはうらやましいなぁ。ワシらも面会に行くか?」
ユンホ「おお、それはええ。ワシらの結束の堅さを全国にアピールするべきや」
チャンミン「そうそう。SMはファミリー、ワシらは5人でひとりや」
東方神起「おーっ!」
ユンホ「そんで、カンタにいさんは元気やったんか?」
テヨン「あ…そおゆうたら会うて来るのすっかり忘れとったな」
ジェジュン「はぁ? 何しに行ったんや、自分ら?」
テヨン「わははは、楽しかったからつい忘れちゃった。ま、ええか」
東方神起「ま、ええかちゃうわ!」
少女時代「わはははは!」


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歩哨「隊長殿、東方神起ゆう5人組がアン二兵に面会を求めてきておりますが!?」
隊長「全員銃殺にしろ!」






※『パボが戦車でやって来た』…ネタ元は『馬鹿が戦車(タンク)でやって来る』。
 1964年の松竹映画で、主演はハナ肇山田洋次監督の『馬鹿まるだし』『いいかげん馬鹿』に続く、馬鹿シリーズ第3作である。
 私の編集の師匠が、酒を呑むと必ずこの馬鹿三部作の話をしていたので、観たことないけどもう充分観た気がしている。
     『馬鹿が戦車(タンク)でやって来る』予告編
 ちなみにこの戦車は映画用の特注だそうです>ケビンさん
 『ドミニオン』のボナパルドみたいで可愛い♡


すーぱーそに子…これを書いた当時は売っていた、すーぱそに子なる美少女キャラがついた乾パン。今では広告さえ残っていない。
 それにしても災害にあって大変な時に、こんなおちゃらけた食料を出されてもむかつくだけなんじゃないだろうか?


※少女時代がカンタの面会に行って、非常に厚遇されたという話を聞いた東方神起は、すぐ後を追ってカンタの陣中見舞いに行ったが、
 アイドルといえども男なので、けんもほろろの対応をされたと言うオチが残っている。