第2話 ファン・ミヨン

がちゃ
ティパニ「れです&げんとるまん、あにょはせよ!」
全員「…(また妙な奴が来たな)」
ユナ「ガングロ、パツキンやんか」
ティパニ「わったしぃは美国のLA(ラ)から来ましたステファニーいいます。
  在美韓国人祭りで歌ってたらぁスカウトされましたねー。
  今からみなさんの仲間でっす。どぞ、よろしゅう」
ユリ「美国から来たんやて。自動的にこの娘はシカの担当やな」
ジェシカ「仕方ない。(すい)ステファニさんとおっしゃるの?
  (ぺらぺら)あたくしはジェシカ・ジョン、おサンフランシスコ生まれの帰国子女よ。よろしくね」 ←サンフランシスコ式英語
ティパニ「…? 訛りがきつくてさっぱり聞き取れませーん」
ジェシカ「なんやとこらぁ! 同じ州やないけ、田舎もん扱いすんじゃねーよ!」
ティパニ「Oh! やっぱりアジア人は野蛮でっすねー。ケンノンケンノン」
ソヒョン「(なんで剣呑とかゆう言葉は知っとるんやろ?)」
ヒョヨン「シカの英語がパチもんやってことはわかった」
ティパニ「とっころぉでー、ここにタエヨンさんて人いますかー、タエヨンさん?」
ユリ「タエヨン?」
ユナ「テヨンねえのことちゃうか?」
ジェシカ「そやな、多分ヘボン読みしとるんやろ。(パンパン)ちょっとちょっと、テヨンさん」
テヨン「(ててて)へえ、なんぞ用けえの?」
ティパニ「あっなたぁがぁタエヨンさんでーすか? わったしぃはステファニーいいます。
  これからぁ一緒に住みまぁっすねぇ」
ジェシカ「ああ、なるほど。よかったな、自分の寮の相方になるんやて」
テヨン「こがぁないなげな言葉使いの子と同室ゆわれても、気ぃすすまんわ。総務の六平太ちゃん、なに考えとるんかのぉ」
ユナ「どっちもどっちやんか」
ユリ「宇宙人同士、お似合いちゃうか?」
テヨン「なにゆうとるん。南北に分断したこの国家に標準語やらありゃーせんで、たまたまソウル弁が標準語みたいになっとるだけじゃ。
  三国時代ならワシの言葉も立派に百済の標準語じゃけ」
ヒョヨン「わかったわかった」
ユナ「そうはゆうてもソウル弁が高句麗の言葉に一番近いんやから、仕方ないやん」
ユリ「まぁ百済弁より気品はあるな」
テヨン「気品なんかあくまで主観の相違…」
ティパニ「現地人同士のレベルの低い話し合いは適当に切り上げてくださーい。
  タエヨンさん、さっさと、わったしの部屋まで案内しなさーい。
  使用人なら使用人らしく、主人が長旅で疲れていること、察しなさーいね」
テヨン「へ?」
全員「(むかっ)」
ティパニ「そこの荷物持って。韓国のゴミがつくとイヤだから、ゴロゴロしては駄目でーす。ちゃんと抱えて運びなさーい」
テヨン「ワシにゆうとるんかのぉ?」
ジェシカ「多分ね」
テヨン「ワシだけがパボにされとるんかのぉ」
ティパニ「もっちろん違いまーす。わったしの荷物運ぶなら現地人の誰でもいーのでぇすから」
全員「(ピキーン!)」
ジェシカ「ほっほっほ、テヨンさん、特別に許可しますわ。このアメリカ人に韓国人の偉大さを思い知らせてあげなさい」
ユナ「(普段、自分はアメリカ人てゆうとるくせに)」
テヨン「わかった。ほな、クォン・ヨンウクさんの『帰去来辞』を」
全員「(ずこ)そ、そうやなくて」
ジェシカ「グーでいけゆうとるんや、グーで」
テヨン「あー、なるほど。ほなグーで(グッ)」
パチーン!
ティパニ「わひゃー!(クルクルドーン)」
ユナ「ええー?」
ヒョヨン「見えへんかった。ストレートか?」
ソヒョン「アメリカ娘の身体が空中で三回転したで」
テヨン「いや、軽いジャブのつもりじゃったが…アメリカもんはヤワイのぉ」
ヒョヨン「自分の規準ならヒョードルかてヤワイわ」
ジェシカ「キム・テヨン、恐るべし(ぞー)」
ソヒョン「(つんつん)とりあえず死んではおらんようや」
ヒョヨン「どうする? 今の内に誰か漢江に捨てて来る?」
ユナ「捨てるなら荷物も一緒に証拠隠滅…ん? この荷札、”ファン・ミヨン”て書いてあるで」
ユリ「なんやねん、アメリカ気取りでもベタベタの韓国人やんけ。ファン・ミヨンなんて」
ティパニ「ウチを…(むくっ)、ウチをその名で呼ぶなー(ドカーン!)」
全員「わー!」
ジェシカ「なんだ、なんだ?」
ソヒョン「うろつき童子が暴れ出した!」
ティパニ「人には触れちゃならねえ痛みってもんがあるんやで。そこに触れたら後はもお命のやりとりしか残っとらへんのや」
ジェシカ「そんなギャンブラーなオチ、誰がわかるか! わー!」






ティファニーは2004年に地元の在米韓国人祭りに参加して歌っているところをSMのスタッフにスカウトされた。
 その時期は10月と書いてあることが多いのだが、実際には渡韓したのが10月ではないかと疑っている。
 いずれにしろ2004年にはテヨンと同居生活を始めているようだ。