第3話 阿Q偽伝

ステラ「ステパニはん、ステパニはん」
ティパニ「…」
ステラ「ちょっと、ファン・ミヨン!」
ティパニ「ウキーッ! ウチをその名で呼ぶんやないって」
ステラ「そやからステパニゆうたやないの」
ティパニ「ステパニちゃうもん、ステファニーやもん」
ステラ「この国の人間はちゃんと”F”の発音が出来まへんのや。シカねえとウチぐらいやで、ねえさんの名前をちゃんと呼べるの」
ティパニ「てゆうて、いまステパニゆうたやんか」
ステラ「慣れてもらうためやないですか。この国におる限りねえさんはステパニ呼ばれるんやから」
ティパニ「いややー、もお国に帰りたい」
ヒョヨン「大体なんで自分の親は、母国じゃ正確に発音されんとわかっとってそんな名前にしたんかな?」
ソヒョン「新手の虐待かも」
ソヨン「そんな訳あるかい。多分自分の親は母国では”ミヨン”と名乗って欲しかったんや。
  ミヨンて可愛い名前やないの」
ティパニ「ねえさん…」
ユナ「ふっ(ええ人やけど、そんな甘いこっちゃこの先つとまらへんで)」
ティパニ「でもミヨンはいや」
ソヨン「あら(ずこっ)」
ユリ「なんでやねん」
ティパニ「子どもの頃に韓国名聞かれて”ミヨン”ゆうたらクラス中で笑われた」
テヨン「そがぁなぁら全員銃殺したらえかったんじゃ」
ティパニ「まぁとりあえずどついたけども」
ユリ「そやけど、ステパニもないと思うで。ポギョンねえさんとかぶるからな」
ヒョヨン「ああ、そやった」
ティパニ「ポギョン?」
ジェシカ「ウチらの先輩にステパニゆう人がおるねん。本名はキム・ポギョンやけど、来年あたりデビューする予定や。
  つまり、その人がおる限り自分がステパニと名乗ることは許されへんちゅうことや」
ティパニ「なんやねん、名前も援交序列か。どうゆう国やねん」
ジェシカ「援交やなくて年功な。それに序列ゆう訳やのうて、混乱を避けるためや。
  同じ名前の芸能人は少ない方がええ」
ステラ「ステパニは駄目、ミヨンはいや…なんと呼んだらええんやろな」
ジェシカ「ガングロちゃんでええやん(笑)」
ティパニ「なら自分はイ・ギョジョン(歯矯正)ちゃんに名前変えろや」
全員「ぷっ」
ジェシカ「ウッキー! テヨンさん、こいつをやっておしまいなさい」
テヨン「わしゃワレの手下じゃないけえの。それに今のちぃと受けたけ(笑)」
ジェシカ「チッキショー!」
ソヒョン「小梅太夫が『エンタの神様』に初出演するのは2005年やで。混乱したらあかん」
ジェシカ「なんの話や」
ソヨン「とにかく早くなんか名前を考え。こっちも呼びようがないわ」
ティパニ「はぁー、韓国まで来て名前がないなんて、ウチは世界一不幸な帰国子女や」
ソヒョン「電話帳めくって適当に指差してみたら」
ステラ「電話帳のトップに載っとる名前はたいがいアボットやで」
ユナ「名前は墓石からもらおう」
ティパニ「あしながおじさんか!」
ユリ「アンはアン? Eのつくアン」
ティパニ「なんで急に世界名作文学になるんや」
テヨン「作者もマンガばっかり読んどるたぁ思うわれとぉないんかのぉ」
ヒョヨン「なら阿Qは?」
ティパニ「ど、ど、どこの国に阿Qなんちゅう滑稽な名前のアイドルがおるっちゅうねん!
  (うがー!)大概にせんかー!」
ユナ「わー、また暴れたー」
どったんばったん
ソヒョン「こうして彼女は愛称が決まるまで、阿Qと呼ばれる事になったのです」
ティパニ「嘘つくな!」






※キム・ポギョン…天上智喜 The Grace のステファニーの本名。
 天上智喜は2005年から活動を開始している。