第57話 コンセプトチェンジ

♪すっちょがぬん いぇぎっぷにんごーる
少女時代「いえーい!(ぴょーん)」
仲宗根「もっと高く!」
ユナ「あんまり跳ねるとスカートめくれるんやけど」
仲宗根「手で押さえて跳べや。その方が可愛いし」
ヒョヨン「とうとう可愛い路線で押し切られちまったなぁ(とほほ)」
がちゃ
クッキーマン「イ・スンチョル先生のおなーりーーーー!」
ソニ「は?」
スンチョル「(ずいずいずい)はっはっは、苦しゅうない。陣中見舞いや」
ソヒョン「RUIにいさん…」
ジェシカ「よっぽどヒマなんやな」
クッキーマン「少女時代のメンボは来週のカムバックを目指し、パフォーマンスの最後の仕上げを行っておるところです」
スンチョル「ほぉ、それはちょっとその振り、見てみたいわ」
クッキーマン「かしこまりました。それでは梨乃先生、稽古を続けてください」
仲宗根「おう。そんじゃ衣装をそろえて初めからやるぞ。着替えて来いや(ぱんぱん)」
少女時代「へーい(だらだら)」
スンチョル「なんか、あんまりノッてないみたいやな。ワシの曲に不満でも?」
クッキーマン「いえ、そうではなく、デビュー曲とはコンセプトをだいぶ変えましたので、まだピンと来てないようで」
スンチョル「なんで? 『タマンセ』なかなかよかったやない」
クッキーマン「へえ。9人BoAみたいなコンセプトで、あれはあれで好評でしたが…」
少女時代「着替え終わりましたー」
仲宗根「よし、さっさと並べ」
スンチョル「お、なんか女子高生みたいな制服っぽい衣装やな」
クッキーマン「そうなんです。今度は女子高生らしさを前面に出すことにしたんですよ。実際全員高校生ですし」
スンチョル「ははぁ、ワンダーガールズの『Tell Me』シンドロームやな」
クッキーマン「ご名答です。あれが異常にヒットしたおかげで、我々としても若い女の子たちに振ったコンセプトに変更を余儀なくされたんです。
  幸い先生の『少女時代』がキュート路線への変更が容易な歌詞だったので助かりました」
スンチョル「そうやろ?(ふっふっふ) こう見えても娘おるからね。
  望むと望まないにかかわらず、なんだか生き方がオトメチックな方に行っちゃうんだよね
クッキーマン「それ、”ドラマチック”ちゃいますか?」
♪じゃーん
スンチョル「お、始まった!(わくわく)」
仲宗根「さぁ、最初はバンドマンになった気分で、軽快にー(ぱんぱんぱん)」
     ギターダンス
スンチョル「おもろい振り付けやなぁ」
クッキーマン「これは通称ギターダンスいいまして、バンドサウンドの原曲に対するオマージュです。89年当時を知っている世代はニヤリとします」
スンチョル「なるほど」
仲宗根「そして人形ダンスーーー!」
     人形ダンス
スンチョル「おおっ、ダンスがコケティッシュな振り付けに!」
クッキーマン「ここから少女ならではの可愛らしい振り付けに移行していきます」
     人形ダンス
クッキーマン「あまりに観客に媚びているようやとメンボからは不評なんですが」
スンチョル「アホゆうたらあかん。受けてナンボや。
  60歳になってアイドルやれる、ケツ振れる。その事に感謝しないでなんに感謝だ!」
クッキーマン「おっしゃるとおりです」 
テヨン「♪なる! あじごりだごぉ まらどんやるみーゆん にょくしんじぇにがぁ
スンチョル「おお、ええやん! ノリノリやん!」
クッキーマン「おそれいります」
スンチョル「ワシも混ざろうっと。誰かギターを持てい!」
クッキーマン「ちょ、ちょっと先生…」
少女時代「♪おりだご のりじまらいよ すじゅぼそ まるど もったごぉ
スンチョル「そしてワシ!(ぎゅいーん!)」
    
クッキーマン「わぁ」
仲宗根「なんだなんだ、邪魔やぞ」
クッキーマン「すんませんすんません」
仲宗根「ええい、くそ。とにかく、そこから反抗ダンス! あくまで可愛く」
     反抗ダンス
少女時代「♪おりだご のりじまらいよ すじゅぼそ まるど もったごぉ
     反抗ダンス
少女時代「♪すちょがぬん いぇぎっぷにんごーる!
スンチョル「そしてワシ!(ぬん)」
    
スンチョル「さらに、ワシ!」
    
仲宗根「(いらいら)邪魔やなぁ。…そう、そこでテンポ変わって、大サビのフォーメーションや!」
スンチョル「導かれて、ワシ!」
     大サビ
仲宗根「導いてない!」
ユリ「うう…大サビからクライマックスにかけてはウチの見せ場なのに」
     ユリ、アドリブを自主規制
スンチョル「そこでも当然、ワシ!」
    
スンチョル「フィナーレもワシやー!」
    
♪じゃーん
スンチョル「(感動)うう、ええ歌や。大ヒット間違いなし」
仲宗根「ちょっと先生、子供たちの邪魔しないでくださいよ」
スンチョル「ああ、これは申し訳ない。稽古見てたらつい参加したくなって。やっぱ見てるだけじゃあかん。
  …肝心なのは手前(てめえ)の足で立つことなんだ」
テヨン「やかましい!(ばちかーん!)」
スンチョル「わぁ!(くるくるどーん!)」
クッキーマン「あー、先生、先生!(ゆさゆさ)」
ジェシカ「ちょっとぉ。RUIのおっちゃん血まみれになってもうたで」
テヨン「そやけど、もお我慢の限界やったもんで」
ソニ「あれは死んだんじゃないか?」
ソヒョン「まさに箪笥ダンスを踊ったゆうわけやね」
クッキーマン「上手いことゆうとる場合か!」
    





※韓人祝祭ネタは本編(第437話)に書いたのと情報的にそう変わらないのでやめました。


※少女時代の初めてのカムバックは2007年11月初週。
 11月2日に活動曲『少女時代』を含んだ1stアルバム(フル)が発売されている。
 デビュー曲『タシマンナンセゲ』のシングル発売からほぼ3ヶ月だが、アルバムの準備はすでにそれ以前から始まっていたと思われる。
 『タシマンナンセゲ』の準備に1年以上かけた少女時代のこと、数ヶ月程度の準備は当然である。
 ワンダーガールズの『Tell Me』が若者の間にシンドロームを巻き起こしたのは10月に入ってからなので、 当時言われていたようにワンゴルの成功を受けてのコンセプトチェンジとは考えにくい。
 『タシマンナンセゲ』を準備していた1年の間に、ガールズグループを取り巻く環境が変化し、それに対応したコンセプトチェンジだったのではないか。
 しかし、『少女時代』で打ち出したコンセプト(清純で可愛らしく、あくまでも少女らしさを保つ)は上手くはまり、その後の少女時代の方向性を決定づけた。
 このコンセプトは『Kissing You』で花開き『Gee』で一つの頂点を極めるのだが、その意味でも『少女時代』の持つ意味は大きい。
 『少女時代』が担っていた役割はもう一つあって、それは30〜40代男性ファンの取り込みである。往年のヒット曲をリメイクした理由がグループと名前が同じだからだけとは考えられない。
 実際89年頃に青春を送ったおじさんたちの多くが、この曲で少女時代を知りファンになっていった。
 特徴的なダンスも話題となり、『タシマンナンセゲ』の頃に比べると大躍進といえる活躍ぶりとなった。
 初の地上波1位もこの曲。これ以後、少女時代はワンダーガールズとともに、これまで層の薄かった女子アイドル界で代表格となっていく。