第14話 MUDでMADなフェスティバル

がやがやがや
スヨン「うひゃー、海岸中えらいことになっとるな。これが有名な保寧マッドフェスティバルか」
ステラ「ぴゃー、みんな泥だらけやな」
    
ティパニ「参加者の半分以上は外人て聞いてたけど、これじゃ何人だかさっぱりわからへんな」
ソヒョン「まさに土人ゆうわけやな」
ソヨン「あんた、デビューしたら、放送禁止用語ポンポン口にする癖直しなさいよ」
ソヒョン「はーい。余談やけど作者は昔『トムとジェリー』の仕事をしていて、
  なんとか『南の島』の回を放映出来ないかと相談されたけど、”さすがに無理や”て断念したことがあるらしい」
ジェシカ「まさにどおでもええトリビアやな」
ヒョヨン「ともかく、ウチが昨日拾うたチラシによるとイベントが仰山あるらしい。中には懸賞がかかったものも少のおない」
ティパニ「みんなで懸賞を稼ぎまくって、別荘を修復する訳やね」
ユリ「美人コンテストや、美人コンテスト。よーし、頑張るぞ」
ソヒョン「みんな土人なのに、美人もへったくれもないやろ」
ソヨン「やめなさいって」
ハジン「なぁなぁ、あれなに? みんな鉄格子の中に入って泥かけられとるけど」
    
ヒョヨン「えーと(ガサガサ)、あれはマッド刑務所ゆうコーナーやな」
ユナ「楽しそう! ウチも囚人になって泥かけられたい」
ジェシカ「そんな焦らんかて大丈夫。いずれ結婚詐欺か美人局でホンマモンの刑務所入ることになるんやから」
ユナ「(むか)なんなら殺人罪で入ってもええんやで」
ヒョヨン「そんな一銭にもならん出し物は無視せえ。懸賞のかかってるイベント最優先です」
テヨン「よっしゃ懸賞総取りや。何万人おろうがウチの前に立ち塞がる敵はみんなしばき倒す!」
ヒョヨン「その意気や」


★マッドシムル大会
ヒョヨン「まずはシムル大会で優勝して勢いをつけよう」
テヨン「つるつるして投げにくそうやなぁ」
ジェシカ「スヨン、自分行って来いや。一番身体がでかいんやから」
スヨン「えー? 肉弾戦は苦手やなぁ、口喧嘩なら得意やけど」
ステラ「四の五のゆわんと行って来い!」
ハジン「頑張れ、ウチらの天下壮士!」
スヨン「ほ、ほんなら行くけど、後で怒らんといてな」
…この頃、スヨンが運動音痴と言うことはまだあまり知られていなかった。
行司「はっけよーい、のこった!」
対戦相手「どすこーい!(どーん!)」
スヨン「わひゃー!」
くるくるくるー
ティパニ「あかん、一発で飛ばされた」
テヨン「軽すぎる」
ヒョヨン「手も足も出んとはこのことや」
ソヒョン「手足長いのにな」
ティパニ「あれは手足やのうて触角にちがいない」


★マッドマラソン大会
ヒョヨン「この中で一番足が速いのは誰?」
テヨン「ユナちゃうかな?」
ソヒョン「ヒョヨンねえも速いやろ」
ユリ「ウチかてスポーツは得意でーす(ぴょーんぴょーん)」
ソヨン「自薦他薦入り乱れやな」
ステラ「ほな参加者を決める予選をやろうか。会場の端まで走っていって、折り返してここに戻って来る。一番速かった奴が選手ね」
全員「はーい」
…だが予選は熾烈を極めた。
ヒョヨン「…ぜぇぜぇ、な、何回やってもウチが一番やろ」
ユナ「い、今のかて鼻差やんか(はぁはぁ)、もう一回勝負や」
ユリ「そうやそうや。再戦を要求する(ぜえぜえ)」

スターター「ヨーイ、ドン!」
わらわら
ステラ「お、本番がスタートしたで、ヒョヨンはどこや?」
テヨン「んー?」 ← 近眼
ユリ「あっこや、最後尾」
全員「えー?」
ヒョヨン「(よろよろ)あ、あかん、もお足が上がらん。予選で体力使い果たした」
ソヨン「アホばっかりやなぁ」


★マッドレスリング大会
テヨン「結局こうゆう競技が一番ウチら向きなんや」
ティパニ「おっしゃるとおり。ほな番長、よろしくお願いします」
テヨン「まかしとき」
…テヨンさすがに強し。早くも決勝となった。
レフェリー「ファイト!」
対戦相手「たーっ(ドロップキック)」
テヨン「ふっ(ひらり)」
対戦相手「くそー、どりゃ(ローキック)」
テヨン「なんやそのキック、ハエが止まるで(ささっ)」
ステラ「余裕じゃん」
ジェシカ「ああ、さすがや」
ユリ「なんでも日本のPRIDEに出場してケイ・グラントをKOしたことがあるらしい」
ソヨン「リングアナに勝ってどうする」
テヨン「ほなそろそろウチから攻撃させてもらうで。たーっ!」
対戦相手「み、見えない…うわーっ」
ギシギシ…
対戦相手「…あわあわあわ(ぶくぶく)」
ユリ「おお、一瞬で背後に」
ソヒョン「大技ロメロスペシャル…完全に極まったで」
ティパニ「やった、優勝や!」
レフェリー「勝負あり! テヨン選手の負け」
全員「えーっ!?」
レフェリー「地面に肩つけたら負けてゆうたやんか。プロレスちゃうんやぞ」
テヨン「し、しまった、忘れとった」
全員「…鶏か!」


★マッドのど自慢大会
テヨン「これもウチの分野ちゃうか?」
ティパニ「ド演歌なんか歌うても観客にアピール出来るかい」
ジェシカ「ほほほ、ここはウチが行きますわよ。さっくり優勝して来ます」
テヨン「頼んだで、No.2」
ジェシカ「No.2ゆうな」

MC「さぁジェシカさんの点数は? 10点・10点・9点・10点・2点。惜しい、1点差で準優勝です」
ジェシカ「えー、なんで? ウチの方が上手かったで」
MC「会場審査員の5番の方だけ2点と辛口ですが」
女の子A「態度が気に食わん(きっぱり)」
スヨン「うがー、よりによってあの子が審査員やってる」
ヒョヨン「こ、これは不運としか…」
ソヒョン「でも2位ってのはおねえの定位置やからそう不思議でもないな」
全員「そう言われればそうやな」
ジェシカ「納得すんな!」


★マッドペインティング大会
…誰ひとり絵心のあるメンバーはいなかった


★マッドスライダー
…みんな楽しんだが、競技ではなかった


★マッドマックス大会
…なんの意味もなかった


ヒョヨン「け、結局1ウォンも稼げんやった(はぁはぁ)」
ユリ「あれだけ身体張ったのになぁ」
スヨン「どないするの、おじいの別荘…(涙目)」
ソヨン「仕方ない、明日からドカチンでもやって地道に稼ごう。
  合宿の残り期間みんなで働いたらなんとかなるやろ」
全員「はぁー(脱力)」
ユナ「くっそー! マッドフェスティバルなんか二度と来えへんぞ!」
…しかしその3年後、少女時代のメンバーはゲストとして再びこの地を訪れることになるのだった。


………
……


仲宗根「パンパンパン!、そこでターンやろ、なにやっとる!」
全員「(はぁはぁ)」
ぷち
仲宗根「やめややめや! 自分ら合宿で何しとった? 夏前より下手になっとるやないか」
全員「す、すんまへん」
仲宗根「試験は全員不合格や! スマン先生に報告するからな」
ソヨン「す、すると、ウチらのデビューは…?」
仲宗根「こんな状態でデビューなんか出来るか! あと一年はみっちり稽古して貰うで!」
全員「がーん!」
ハジン「…も、もうあかん。これ以上は限界や」