第23話 結成! 少女時代(後編)

店員「ありがとうございましたー」
スヨン「ごちそうちゃーん」
がちゃ
ソニ「(こそこそ)1620、スヨンハンバーガーショップを出ました。現在ロデオ通りを北上中。このまま稽古場へ向かうと思われます」
スヨン「♪ふんふん、消えそうに〜 咲きそうな〜 蕾が今年も僕を待ってる」
ソニ「おおっと、スヨンが右折しました。どこに行こうとゆうのでしょうか?」
からんからーん
店員「いらっしゃいませ。ようこそCoCo壱番屋へ」
スヨン「牛すじ煮込みカレー、ライス400g、辛さは普通で」
店員「かしこまりました」
ソニ「1635。驚愕です。今ワッパーセットを食べたばかりなのに、すぐにカレー店でカレーの大盛りを注文しています。どんな胃袋をしているのでしょう。
  ちなみにスヨンが先ほど歌っていたのはコブクロです。
  関西地方限定メニューの牛すじ煮込みカレーのようです。辛さを抑えたところを見ると、スヨンは辛いの苦手なんでしょうか?」


スマン「どおでもええわ、そんなこと」


ソニ「おっと、こうしてはいられません。そろそろソヒョンの授業が終わる頃です。一旦ここから対英高校に移動したいと思います」
てててっ
キキーッツ!
運転手「ばっかやろう、死ぬ気か!」
ソニ「はぁはぁ、あわててトラックに轢かれそうになりました。でも大丈夫です。全員の行動を報告するまで、ウチは死にまっしぇん!」


スマン「もおええ」
クッキーマン「はっ(ぽち)」
スマン「なんやねん、これは?」
クッキーマン「毎日こうやって、メンボの行動をMDに録音して送ってきよるんです。先生がスパイせえゆうからですよ」
スマン「う〜む、わが姪ながらアホやなぁ」
クッキーマン「どないします?」
スマン「やめさせれ。四六時中張り付いとったらすぐばれる」
クッキーマン「御意」
スマン「なんで普段通り生活して、さりげなく観察するゆうことが出来へんのかなぁ」
クッキーマン「あの子なりに張り切ってるんですよ」
スマン「えらい庇うやないけ」
クッキーマン「それは自分の担当チームですし…」
スマン「愛着があるてか? 甘いなぁ。タレントなんか所詮商売道具や。いちいち情を移しとったら事務所訴えられたときに後悔するで。もっとドライにやれ」
クッキーマン「はぁ…」
がちゃ
ヨンミン「Mnetとの調整がつきました。再来週から撮影隊が張り付くそうです」
スマン「ああ、『少女、学校へ行く』か。ほなそれまでに宿所見つけとかんといかんなぁ」
ヨンミン「9人いっぺんに生活出来るマンションとなると限られますからねえ」
スマン「狎鴎亭の近くがええ。多少古くて風呂やトイレが一個しかなくても仕方ないやろ」
ヨンミン「そおですね。売れたらそん時に待遇を改善しましょ」
クッキーマン「売れますとも!」
スマン「…。で、残る問題は?」
ヨンミン「リーダーの選定とグループ名ですね」
スマン「リーダーは一番年上て決まっとる。無用な世継ぎ争いを避けるため、アホでも何でも最初に生まれた子がわが徳川の家督を継ぐのじゃ」
ヨンミン「ではリーダーは竹千代君に決定いたします」
クッキーマン「一番年上となるとテヨンですけど…」
スマン「(がっかり)突っ込んでくれよぉ」
ヨンミン「ボケ損やないか」
クッキーマン「すんまへん。そやけど、テヨンがリーダーちゅうのはいかがなもんかと」
スマン「そんな器やないと?」
クッキーマン「器はわかりまへんが、周りと容易に迎合しないゆうか、ちょっと離れたポジションに身を置く性格ですから」
ヨンミン「2番目に年長なのは?」
クッキーマン「ジェシカです」
ヨンミン「ジェシカはリーダー気質とは真逆のタイプやろ」
クッキーマン「そうですね、ガチガチの個人主義者ですから。どっちが向いとるかゆうたらテヨンの方やと思いますけど」
スマン「ならテヨンでええやろ。リーダーになったら他のメンボにも寄り添わにゃあかん。難しい性格も是正されるんやないか?」
クッキーマン「はぁ。ほなそうします」
スマン「チーム名もテヨンが取りまとめてメンボに決めさせるように」
クッキーマン「チーム名もでっか?」
スマン「問題児ばかりやが、自分らで決めた名前なら文句ゆわんやろ」
ヨンミン「すんなり決まりますかねえ」
スマン「リーダーテヨンの初仕事やな。これをまとめ切れんようならリーダーには不適格ゆうことや」
クッキーマン「はぁ(厳しいお人やな。アホのように見えて、さすがにSMグループの総師や)」
ヨンミン「さぁグズグズしてられへんで。UCCで発表するメンボの写真とプロフィール動画の撮影も早急にやらんとな」
クッキーマン「了解しました。すぐやります」


テヨン「ウ、ウチがリーダー?(ぴゃー)」
スヨン「(がーん)てっきりウチやとばかり思うてたのに」
ジェシカ「その自信がどこから来るのか、逆に知りたいわ」
ティパニ「さ、さ、テヨン様。あちらにエマニエル椅子とお菓子を用意してございます。どうぞお掛けになって」
ソルリ「テヨン様専用の椅子やで。勝手に座ったり寝たりしたらアカンで。特にシカねえ!」
ジェシカ「うひゃー、もお金魚のフンが湧いた」
ティパニ「失礼な。ウチはこの国に来たときからテヨン派や」
ユリ「嘘つけ」
テヨン「そんじゃま、失礼して(どっかり)。ほんで脚を組んだりして…うふふ、色っぽいかしら」
ソルリ「それはもお」
ソヒョン「どっちかとゆうとラオウみたいやけどな」
スヨン「待て待て。みんなテングがリーダーでええんか? シカはテングのライバルちゃうんか?」
ジェシカ「ウチはみんなの頭に立つ気はない。めんどいもん。それにこれからは同じグループ。啀み合っとる場合とちゃうやろ」
ユリ「上に同じ」
ヒョヨン「むしろリーダーをテヨンに押しつけられてホッとしてるわ」
全員「んだんだ」
スヨン「(がっくり)なんちゅうダメダメな奴らや」
ソヒョン「スヨンねえ、文句あるなら決闘でも申し込んでみたら」
スヨン「アホか。結果のわかっとる喧嘩なんか出来るか」
ソヒョン「ほんならしゃあないやん。所詮この世は力。力による支配こそ平和への近道や(ふふふ)」
ソニ「フセインカダフィみたいなことゆうなぁ」
テヨン「スヨンがやりたいゆうなら、ウチ代わってもええで」
スヨン「ホンマ?」
全員「却下します!」
ヒョヨン「こいつが決めれるのは飯の時間くらいなもんや」
ジェシカ「一日中飯の時間やけどな(笑)」
スヨン「ずーん」
テヨン「そうかぁ。じゃあウチがリーダーやります(ホンマはBoAねえさんみたいにソロでデビューしたかったのになぁ。ま、今まで辛抱したんや。また1〜2年我慢して、顔を売ってからソロで売りだそう)」
全員「ぱちぱちぱち」
ソニ「そうとなったらグループ名を決めなくちゃ」
テヨン「グループ名ねえ。ウチはてっきり”スーパーガールズ”でいくと思うてたから」
ユナ「JYPから”ワンダーガールズ”が出ちゃったからねえ」
ヒョヨン「こっちは逆に漢字の方がよくね? 東方神起みたいに」
テヨン「うーん、じゃあ保身湯(ボシンタン)とかどお?」
ソニ「あかんあかん、そんなの」
テヨン「ほんなら参鶏湯(サンゲタン)とか全州ピビンパとか」
ジェシカ「なんで食いモンの名前ばっかりやねん」
ティパニ「こいつも食い意地は張ってる方やからなぁ」
スヨン「なんか引っかかりのある名前の方が良くない? 正反対のものを組み合わせてみるとか」
ソヒョン「お、前向きの意見」
スヨン「(こうなったら記録より記憶に残るメンボになってやる)」
テヨン「”黒いマヨネーズ”とか”つるつるのウニ”とか”ええ匂いのウン○”とか、そうゆうこと?」
スヨン「まぁそうゆうことなんやけど…なんか流行る気がせんな」
ソヒョン「そらぁそうや」
ソルリ「めっちゃ流行ってるグループからちょっと拝借するとか?」
テヨン「じゃあ”エグイザンス”とか”車上嵐”とか”関ソニョ∞”とか?」
全員「…(このリーダー、ネーミングのセンスはゼロやな)」
テヨン「ところで”ワンダーガールズ”てどおゆう意味?」
ジェシカ「”驚異の少女たち”ゆうところかな(いくら学校行ってへんからって、それぐらい知っとけよ)」
テヨン「やっぱガールズとかはついてた方がよくね?」
ソヒョン「ならコグマガールズは?」
ユリ「山芋少女では?」
ユナ「食いモンはええって」
ジェシカ「そんなんでワンダーガールズに勝てるか!」
ソニ「第一JYPと被るのはいややなぁ」
ティパニ「ガールズを頭に持って来たらええんやない? ガールズなになにとか」
ユナ「その”なになに”が問題やんか」
がちゃ
ジュンス「おはよー、後輩諸君。日本武道館で大成功を収めてきた東方神起が凱旋しましたよ」
全員「う〜む」
ジュンス「あれ、返事がない。日本じゃどこ行ってもキャーキャーゆわれるのに」
テヨン「やかましい! 今それどころやないねん」
ジュンス「相変わらず攻撃的やなぁ、テヨン。まぁ、そこが可愛いんやけど」
テヨン「(ぞー)やめれ」
ジュンス「そうや、テヨンに日本のCD仰山買うて来てやったで」
テヨン「また後でな。今忙しいねん」
ジュンス「そおゆうなや。お勧めはこれ、中島みゆき
テヨン「(がたん)おばはんやないか。なにがお勧めや」
ジュンス「そやかて自分、作詞作曲の勉強もしたいゆうとったやないか。中島みゆきユーミンと並ぶ天才ソングライターやぞ。デビューした頃の『時代』とか聴いてみ、鳥肌立つから」
テヨン「…! 『時代』、それや!」
全員「ええーっ(げんなり)」
テヨン「”少女たちの時代”や。英語やったら?」
ティパニ「”Girls' Generation”かな」
テヨン「バッチリやん。おおきにジュンスにいさん、これでウチらの名前が決まったで」
ジュンス「あ、そお。なんか判らんけどよかった」
テヨン「今は、少女時代や!」
全員「(がっくり)センスねえー」