第15話 誕生! Super Girls!!

01
スマン「こないだデビューさした『スーパージュニア05』、どない具合?」
キム・ヨンミン「上々ちゃいまっか? すぐに2曲目出す予定ですし」
スマン「ほーかぁ。12人ゆう大所帯でも結構行けるもんやね」
ギョンウク「ウチの子らは基礎がしっかりしてますさかい、大人数でもひとりひとりが滲みまへんで。
  数が多い分は純粋に迫力としてアウトプット出来ますわ」
スマン「うーん、ほな女の子でもそれやってみよか?」
ヨンミン「SJの女子版ちゅうことでっか?」
スマン「うん。そのくらいの人数はおるんやろ?」
ヨンミン「そらもお、立ち腐れしそうなくらいおりますわ」


トレーナー「ちゅうて先生と社長がおっしゃっとるさかい、テストケースとしてチームを組んでみるわ」
練習生「ザワザワ…」
トレーナー「それなりに練習期間があり、かつ高校生ぐらいの年齢を中心にチームを編成する」
ソヨン「質問! それに選抜されたら他と別メニューの練習になるんでっか?」
トレーナー「そうや。年末の社内ミニコンサートで一定の成果をお見せすることになる」
ヨニ「そのままプロ・デビューなんてことは?」
トレーナー「さぁ、ワシはそこまで知らされとらんからな」
練習生「ザワザワ…」
トレーナー「ほな、選抜メンバーを発表する。イ・ヨニ!」
ヨニ「はい!(やった、デビューや!)」
トレーナー「次にホン・ボラ、ペ・ソクビン、チャン・リイン、ジェシカ・ジョン…」
ジェシカ「ウチも?」
ヒョヨン「そら、練習期間の長い自分が選ばれな、後の者はやってられんで」
ユナ「ほんまや。稽古ばっかで根腐れしてまうわ」
トレーナー「キム・ヒョヨン」
ヒョヨン「やったー!」
トレーナー「クォン・ユリ、チェ・スヨン、イム・ユナ、ソ・ジュヒョン…」
ユナ「まだ続くん?」
スヨン「大型グループやなぁ」
トレーナー「最後にキム・イェジン。以上11名でプロジェクトチームを組む。
  ヨニが暫定でリーダーやって頂戴」
ヨニ「はーい」
    
    最初期のプロジェクトチーム


ソヒョン「なんでテヨンねえやパニねえは選抜されへんかったん? 実力なら充分やないの?」
ソヨン「しーっ。奴らは外部トレーナーに指導受けとるし、まだ外様なんや。
  そうでなくてもデビュー待ちの古株が仰山おるんやから余計なことはゆわんがええ」
ソヒョン「う、うん…(テヨンねえ、パニねえ、先にデビューするウチを許してや)」


が、勿論そう簡単にデビューできる訳もなかった。


02
スマン「年末のコンサート見たけど、まぁまぁ良かったんやないの? 特に89年組が頑張ってたな」
ヨンミン「そうですな。ほなこのラインでメンボを固めまひょか?」
どっかーん!
スマン「わーっ!」
バリバリバリ!
ヒョンジン「こらー、なに勝手なことゆうとるねん。89年組てなんや?
  新グループなんか結成しとる余裕あったらウチら85年組の面倒ちゃんと見らんかい!」
ヨンミン「じ、自分は”MILK”のソ・ヒョンジン…?」
スマン「まだ生きてたんか?」
ヒョンジン「生きとるわい! グアムの旧日本兵みたいな扱いするんやない!」
ヨンミン「ひえーっ!」


トレーナー「昨年末のミニコンサートの結果がかんばしくなかったゆうて、社長と先生がご立腹じゃ」
ヨニ「嘘ぉ」
トレーナー「よってメンボを入れ替えるで」
練習生「ザワザワ…」
トレーナー「ヨニ、ポラ、ソクビン、リイン、イェジン…以上OUT!」
ヨニ「がーん!」
トレーナー「代わってソ・ヒョンジン、パク・ソヨン、ステラ・キム、チャン・ハジン、イ・ファニ…IN!」
ヒョンジン「よーし! これからはねえさんと呼びな」
ユリ「今までも呼んでたけどな」
ヒョヨン「なんでまたMILKのヒョンジンねえさんが入って来たんやろ?」
ジェシカ「わからんけど、ステラは美貌、英語力とも今後ウチのライバルとなるやろうな」
ユリ「男好きってところで一番競合するんやないの(いっしっし)」
ジェシカ「シュシュシュッ(裸絞め)」
ユリ「ぐ、ぐえええ」
トレーナー「ウチの子ら、ああゆう技はホンマ上手いんやけどな」
    
    通称ソ・ヒョンジングループ


03
スマン「どうよ、ソ・ヒョンジングループは?」
ヨンミン「悪くはないでっせ。MILKのファンカフェ”花樹銀貨”も新生グループに向けて模様替えしましたし、既存ペンを取り込むにはええと思います」
スマン「そやけどJYPが子供みたいなグループをデビューさせるゆう噂があるで」
ヨンミン「子供…?」
スマン「ワンドゴルズゆうコードネームやけど、高校生中心の5人組で内ひとりはまだ中学生らしい」
ヨンミン「げえ。ほな前世紀の生き残りみたいなヒョンジンでは厳しいですな」
スマン「その通りや。新グループは若返りが必要やと思う」


練習生「お疲れ様でしたー!」
練習生「したー!」
ヒョンジン「お疲れちゃん。はぁ、今日もよお稽古したなぁ。たまにはひげ八寄って帰ろうかな…はっ!」
暴漢「…MILKのソ・ヒョンジンやな?」
ヒョンジン「あ、あんた誰や?」
暴漢「問答無用!(シュシュシュッ)」
ヒョンジン「ぐ、ぐえええ!」
トレーナー「ふ…歌手としての自分は死んだ。これからは女優として生きるが良い! …よおやった、シカ」


トレーナー「新グループオーディションの結果発表をしまーす!」
練習生「どきどき」
トレーナー「事情によりヒョンジンがOUTしたので、その補完やった訳やけど、特別に2名採用します。
  まずステファニー・ファン!」
テヨン「ぴゃー、まさか品位の欠片もない自分が選ばれるとは」
ティパニ「実力や。歌の神様はウチを見捨てへんやかったんや」
テヨン「実力か神頼みかさっぱりわからん発言やな。まぁ、どっちでもええ。おめでとお」
ティパニ「おおきに(ぐすん)。毎晩、発音を直してくれた自分のおかげやで」
トレーナー「もう1人はキム・テヨン。タッパがだいぶ足りんけど特例で合格や」
テヨン「え、ウチ?」
ティパニ「やったー、二人揃って合格やで(ハグハグ)」
テヨン「び、びっくりしたなぁもお」
ジェシカ「ふふふ…キム・テヨン、ついにウチの立つステージまで登ってきたわね。
  ええでしょう、それでこそ生涯のライバルと認めた甲斐があったわ」
テヨン「(ほじほじ)」
ジェシカ「(ズル)鼻くそほじってんじゃねえ!」
トレーナー「あと、イ・ファニもOUTね。もっかい基礎からやり直すように」
ファニ「わー、よかった。あんなアホな連中と組まされたらどうしようか思うてたわ。
  1回見送ってソルリたちとデビューしよっと」
    
    通称スーパーガールズ


スマン「どない?」
ヨンミン「ええんちゃいまっか? ヴォーカルライン、ダンスライン、ビジュアルライン、それぞれがええバランスですわ。ただ…」
スマン「ただ?」
ヨンミン「仲悪いのと、ハジンを除いてはアホばっかりなのが気がかりです」
スマン「それはええんちゃう? アイドルが因数分解できるかどうか気にする奴はおらんやろ」
ヨンミン「はぁ(そうゆう次元ちゃうんやけどなぁ)」
スマン「ほなこれで当分固定しよ。このメンボでのデビューを前提に、特別メニューで稽古させるように」
ヨンミン「へへえ。呼称はなんか決めますか?」
スマン「そうねえ。スーパージュニアの女の子版やからスーパーガールズでええんちゃう?」
ヨンミン「(がく)雑だな」







※キム・ヨンミン…SMエンターテインメント代表理事
 高校まで日本で過ごし、1999年の入社後、BoAの日本進出や出やエイベックスとの調整を担当するなど、日本に太いパイプを持つ。
 2005年5月より現職。
 以前の社長はイ・スマンの傀儡と言われたが、キム・ヨンミンは自分の意見も持ちながら、スマン会長と二人三脚でSMに利益をもたらしているようだ。


※イ・ヨニ…1988年1月9日生まれ。
    
 2001年のSM青少年ベスト選抜大会で、1位入賞しキャスティングされた。
 2005年のこの頃にはすでにMVやドラマなどに出演、顔は一般にも知られていた。
 ユナの先輩格と言えばよいかも知れない。
 アイドル歌手としてのデビューは叶わなかったが、女優として着実に活動している。
 『ASAYAN』でスヨンと日韓アイドルデュオの座を最後まで争った韓国人がイ・ヨニと言えばわかりやすいかも。
 またスヨンとは映画『純情漫画』で共演するなど、なにかと縁がある。
    


※チャン・リイン…1989年2月28日生まれ。
 中国四川省出身の中国人で本名は張力尹。
    
 2006年9月に東方神起(当時)のシア・ジュンスと歌った『Timeless』をリリースしている。
 美しいルックス、完璧な韓国語発音、確かな歌唱力と非常に評判はよかったが、
 2008年からは主に中国をメインに活動している。
     『Timeless』


※ソ・ヒョンジン…1985年2月27日生まれ。
    
 2001年にデビューした4人組アイドルグループ『MILK』のマンネ。
 あまりにも品がよすぎて期待されたほど売れなかった。
     デビュー曲『Come to me』
    ベレー帽を被っているのがヒョンジン。
 2005年末にはすでに解散状態にあったため、SMが新女性グループの中心にヒョンジンを強引に入れたらしい。
 現在のヒョンジンは、女優としてドラマやミュージカルなどで活躍している。
 ミュージカル『宮』ではヒロイン役を、スヨンの姉チェ・スジンと共に務めた。


※パク・ソヨン…1987年10月5日生まれ。
    
 現在T-araのメインヴォーカルとして活躍するソヨンが、かつて少女時代のメンバーだったと言うのは
 本人が2010年6月10日放送のトークバラエティ『タクシー』(tvN)に出演して自ら語ったので有名である。
 それによると少女時代のデビュー1ヶ月前まで一緒だったと言うが、これはにわかに信じがたい。
 2007年になって12人の候補の中から最終的に9人が選抜され、その結果ソヨンは落選しているのだが、
 その試験をデビューひと月前に行うだろうか?
 彼女がSMをやめたのが2007年7月というのならわかるのだが。


※チャン・ハジン…生年月日不明(ソヒョンと同い年らしい)。
    
 最終選考までメンバー候補だったが、学業を優先するためSMを辞めている。
 ”Touchs”のメンバー候補にもなっているため、辞めた時期は未定。
 その後韓国のMITに相当するKAIST(大田市)に入学し、2010年3月に自叙伝を出版して話題になった。
 ”SM練習生が科学者の卵に…”と言うのがキャッチコピーだが、『願いを言ってみて』というタイトルといい時期といい、
 完全に少女時代人気に便乗した企画である。